2024年4月26日(金) 本日はヴァニラ画廊・休廊日でございます。

'22/1/28 〜 2/17林月光/石原豪人展 Homme Fatales

林月光/石原豪人展 Homme Fatales

2022年1月28日(金)〜2月17日(木)
平日12時〜19時 土日祝12時〜17時
展示室A

入場料

800
(オンラインチケット)

感染症の感染拡大を防ぎ、混雑を避けるため、 ご入場はオンラインによる事前予約(日時指定券)制となります。
オンラインチケットの販売は2022年1月25日正午より発売開始します。

会期中の物販のみのご利用はお断りいたします。

中性的なもの、実用からはなれたもののなかにこそ真のエロスは潜んでいると思うんです。でも、人は誰でも実用的な部分で生活をしなくちゃなんない。だから、さし絵のようなものは逆に実用性から遠く離れたものこそ求められているんだと痛感しますね。
地球でいえば赤道でも北極でもない温帯。中間のぼんやりしているところにこそ、人を安らかな気持にさせる美があるーー林月光

(「WEEKLY平凡パンチ」(マガジンハウス、1986年11月17日号)より)


写実なタッチでありながら、浮世離れしたロマンティックな画風で怪獣や怪人、幽霊や妖怪などを描き、さらにはゲイ雑誌やSM雑誌などの成人誌で多くの艶画を手がけ、老若男女を魅了した稀代の挿絵画家・石原豪人/林月光の回顧展を開催します。
最盛期には1日20枚も描いたと言われたほどの多筆である氏は、大衆雑誌、少年雑誌、少女雑誌、成人雑誌と限りなく広い場で活躍し、卓越したイマジネーションで生涯現役を貫きました。
本展では、石原/林名義で描いた妖艶な男性像に焦点を当て、ゲイ雑誌「さぶ」「BADi」、アマチュアの女装愛好者向け雑誌「くい〜ん」、女性向け男性同性愛雑誌「JUNE」に掲載された約200点作品を展示します。また展覧会を記念した新画集もエディシオン・トレヴィル社より刊行予定です。

男性愛を大胆な解釈で再構築した氏の発想の産物は、挿絵の実用性を超越し、エロスの本質を象りました。人々の心を刺激した、洗練された美しさを湛えた男性像から、日本のメイルヌード・アート、さらにはイラストレーション界に与えた功績を顧みます。

林月光/石原豪人 プロフィール

1923年-1998年 島根県生まれ。
15歳の時、映画雑誌の似顔絵募集コーナーに投稿し、賞金を手に入れたことがきっかけで、雑誌にイラストを投稿するようになり、その後も映画看板や映画美術、紙芝居等の仕事に携わる。
1954年「小説倶楽部」にて挿絵家にデビュー。以後大衆小説誌の挿絵を意欲的に描く。同時に「明星」「平凡」にて、加島晃のペンネームで似顔絵や小説挿絵を描き始める。
1957年以降は、「少女クラブ」「週刊少年マガジン」「週刊少女フレンド」「少年チャンピオン」「少年キング」など活躍の場を広げ、少年少女誌のグラビアや挿絵を多く手がける。怪獣、ミステリ、SF、怪奇現象、幽霊などのイラストで一時代を築き、さらには劇画、新聞小説などへも活動のフィールドを広げる。
1970年代半ばより、林月光のペンネームでゲイ雑誌やSM雑誌を中心に挿絵の仕事に精力的に取り組み始める。ゲイ雑誌「さぶ」では、1976年ころから小説挿絵、目次ページ、文通ページなどの扉絵や、グラビアなどを担当。さらには仕事場にホットラインを引き、そこで読者体験談や相談を聞き、取材を重ねて自ら物語化・イラスト化した絵物語シリーズ〈月光仮面劇場〉を連載する。体験談の範疇を越えた大胆な解釈で再構成された絵物語は、林月光イマジネーションの真骨頂となり、1995年ころまで連載が続く長寿コーナーとなる。
また同時期には、アマチュアの女装愛好者向け雑誌「くい〜ん」での挿絵や、耽美雑誌「JUNE」では石原豪人の名で、神谷敬里(栗本薫)の小説に次々と挿絵を描き、抒情的なエロスを纏った美少年たちの挿絵は、繊細な男性同士の愛を描いた紙面において抜きん出た存在となった。
晩年は「宝島」「SPA!」「ビックコミック」「ファミコン通信」などでもイラストを掲載する。平成の世相を痛烈に批判したカリカチュアは人気を博し、生涯現役を貫いた。