2013年6月アーカイブ

6月3日(月)〜6月15日(土)の期間、現在のヴァニラ画廊での最後の通常展示、中田柾志写真展「ブローニュの森の貴婦人たち」を開催致します。

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2013/20130603.html

(この後のゴキブリコンビナート展は、画廊内でセット組を致しますので、この展示が最後の通常展示となります。)

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過日のヴァニラ画廊大賞展で奨励賞を受賞された中田さんの写真には、驚かれた方も少なくないでしょう。

使用済みのコンドームが森の中に大量に捨てられている現場が写し出されている、リアルで生々しく、しかしながら不思議な生命力が溢れるドキュメンタリーショット。

あの写真はシリーズとして撮影した中の1枚として展示されたものでした。

今回は、そのシリーズ「ブローニュの森の貴婦人たち」の全貌がお目見え致します。

 

まず初めに、「ブローニュの森」とはどのような場所なのか、中田さんの言葉を借りてご紹介致します。

 

ブローニュの森...フランスのパリの西にある広大なブローニュの森(846万平方米)。昼は市民の憩いの場所、夕方から夜にかけて娼婦・男娼が出没する。

 

 観光誌などでこの森の事を調べると、国立の博物館や遊園地、庭園や競馬場まであり、まさにパリ市民の憩いの場であります。しかしながら夜になると売春目的の娼婦たちが商売を行う、危険な場所でもあるのです。

 

様々なシリーズを撮り下ろしてきた中田さんが「ブローニュの森」の撮影を行ったのか、そのきっかけを伺ってみました。

 

 

(中田)

2005 年4月にブローニュの森を初めて訪れるのですが、主な目的はドイツのフランクフルトにあるエロスセンター(個人で営業している娼婦達の部屋のある館)の内装の撮影でした。

その2ヶ月位前に、ツバルという国を撮りに行ってきた。世界で4番目に小さい国で、地球温暖化の影響で海面が上昇し世界で最初に水没し無くなると言われている国です。アラル海という世界で4番目に大きい湖が旧ソ連時代の無計画な農業政策によりあと数十年で無くなると言われている湖、この2つのシリーズを合わせて見せたら面白いと思った。当時は環境破壊や国境問題等の社会性のあるシリアスな作品を主に撮っていて、その流れでツバルにも行ってきた。

帰国してから数日が経ったころ、社会性のある高尚っぽい(?)写真がなんだかつまらなく感じてきて、その反動なのか、フラストレーションが溜まっていたのか、無性に「エロもの」を撮りたくなった。できればディープなものを。

 

それで、ネットで色々調べていたら、ドイツにある「エロスセンター」なる施設を見つけ、これは面白そうだと思った。パリにある「ブローニュの森の娼婦」を知ったのもの、この時期です。

「夜の森に出没する娼婦」、面白そう、でも危険だろうと最初は考えた。「エロスセンター」はそこまで危なくはないだろうと判断したので、ツバルから帰国して2ヶ月位でドイツに飛んだ。善は急げです。

「ブローニュの・・」は、ドイツの撮影後、ついでにちょっと寄って実態を見ておこうかなという程度の考えでした。ですから「エロス・・」に行ってなかったら「ブローニュの・・」も撮っていなかったと思う。

パリには3日間滞在したが、思いのほか娼婦を撮れ、危険性もあまり感じなかった。実際に行って見たら「森の中の娼婦」というシチュエーションはすごく好奇心をそそられた。新緑の時期は特に映える。

 

この時撮った作品を写真新世紀という公募展に出したら、荒木経惟さんが佳作賞に選んでいただき、これが自信になった。

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2009 年5月本格的に撮りたくブローニュの森を再訪。

この時「使用済みコンドームの散在した写真」※を撮ることができた。偶然なのか、それとも必然なのか判らないが、オイシイ写真を撮れたことで、ほくそ笑む自分がいた。

 

画廊内には5月の新緑溢れるパリの森、その一番ディープでほの暗い面が写し出された驚嘆のドキュメンタリーが展開しております。

中田さんがブローニュの森で出会った様々な人間の姿、まるで氏とともに森を探索し、歩いているような心象にすらなる驚嘆の追体験!

 

華やかなるパリの夜の一風景、多様な人間のあり方と存在を内包する不思議な森の光景を切り取った、渾身のフォトシリーズ「ブローニュの森の貴婦人たち」、是非お楽しみ下さい。

 

■中田柾志 写真展

■6月3日(月)〜6月15日(土)

※第二蒲田ビルでの開催となります。

 

フランス、パリ市の西部に位置するブローニュの森。セーヌ川に隣接し、場所によってはエッフェル塔が望める広大な森(846万平方米)。都会の喧騒から離れた静かな空間は、昼は市民の憩いの場として、週末は散歩やジョギング等を楽しむ人達で賑わう。

2005年4月と2009年5月の2度、この地を訪れた。

 

4月になると冬の暗鬱な空、寒さを乗り越えた植物は、陽光下、一斉に芽吹き、鮮やかな黄緑の色合いを作り出し、生命の躍動感で溢れだす。

古来、俗界から隔離した森には、精なるものが宿るという俗信がある。

陽が傾き、新緑の葉は茜色に染まり、辺り一面静寂に包まれていくころ、この森にはどこからともなく、光沢の衣をまとい肌の露な貴婦人たちが姿を現す。

性なるものが宿る、ブローニュの森。

  

 

中田柾志プロフィール

 

1969年 青森県弘前市生まれ

2002年 個展 NCアートギャラリー(東京都中央区京橋)

2003年 個展 NCアートギャラリー(東京都中央区京橋)

2005年 公募展 写真新世紀で『ブローニュの森』が佳作賞受賞

2012年 ヴァニラ画廊大賞 奨励賞

 

都築響一氏の【ROADSIDERS' weekly】で『ブローニュの森』が紹介された

 

 

※ ヴァニラ画廊大賞展の際に展示した作品です。(今回の展覧会でも展示を行います。)