2011年6月アーカイブ

2011年5月3日に行われた『邪神宮』~邪~The Evil展特別イベント、「クトゥルー神話の夕べ」。

 

参加作家の皆さまと司会に東雅夫さんをお迎えしての豪華なトークイベントの様子をお伝え致します。

また、「邪神宮 闇に囁く者たちの肖像」はじめ、邪神宮関連グッズはヴァニラ画廊にて好評取り扱い中です。是非ご利用下さいませ。

 

東雅夫(以下、東・敬称略):今までになかったクトゥルー神話ですね。でもこの企画を形にするのは大変だったでしょ?小説だけは今まであったけれど、小説とアートを絡めて、それにフルカラーでというのはなかったですよね。

児嶋都(以下、児嶋・敬称略):クトゥルー好きな女子って少ないですよね。中学の時全集を文庫で読んだけれど理解できなかったです。大人になってなんとなく分かるようになったのだけれど。

でもなんとなくクトゥルーってイメージが固まりすぎて広がっていない気がしたから、作品を創ってみたくなりました。今日みたいに女の子がきてくれてうれしいです。

最初は図録だけだったのだけれど、話が進むうちにクトゥルーを書かれていない小説家の方にあえてお願いしようとなって。岩井志麻子さんとか…。

 

東:岩井さんはクトゥルー初挑戦ですね。≪家庭内クトゥルー神話≫と言うかなんというか、今までになかった分野のクトゥルー神話を書きますね。

岩井志麻子(敬称略): 私小説ですね。以前るみちゃんというマネージャーがいて。

彼女はすごいほら吹き。尋常じゃ無いほら吹きだったの。で、私は彼女の嘘を信じていました。神話は出来過ぎた方が信じちゃうものですよ。クトゥるみ神話もそうですね。

スケールが大きなほらだからこそ、みんなの心をつかんじゃうんです。

児嶋:クトゥるみ神話は岩井先生の中で覚醒されて大きくなっていますよね(笑)

 

東:では美術の方に行きたいと思います。天野行雄さんの展示がありますが、どうでしたか。

天野行雄(以下、天野・敬称略):水木しげるさんの「地底の足音」をテーマに、また、実際にいらっしゃった作家さんをモチーフにしています。

水木さんが好きな民芸作家が和紙をひねって山の神々をつくるひとでした。今回、「地底の足音」とその人のモチーフを組み合わせました。「地底の足音」がラヴクラフトと関連しているのは東さんに指摘されて初めて知りました。

東:これぞ水木マジックですね。海外の怪奇小説を多くおりこんでいますよね。その点を京極さんどう思われますか。

京極夏彦(以下、京極・敬称略):当時は怪奇小説なんて言われていなかった。西洋怪談とか言われていましたね。

そのぐらいの時に水木しげるは巻頭弁をラヴクラフトの引用でしているんです。1930年代にやってしまたんですね。水木しげるが怪奇漫画というジャンルに目をつけたらラヴクラフトがいた。

そして怪奇系は楳図かずおさんなどにバトンタッチして、自身は妖怪系へとシフトしていったんですよね。文芸運動と漫画運動のわかりやすい構図の中で、ラヴクラフトはちょうど中間地点に居た。

東:江戸川乱歩もラヴクラフトを紹介して、そうしたらミステリ系作家も注目し始めて。

平井呈一も怪奇小説の翻訳も日本においてラヴクラフトの地位の確立に功績して行きましたね。我々も水木さんを入口にして、自然と怪奇小説の世界にはいっていけました。

そしてこの流れがこうやって天野さんの造形に結びついて。

天野さん今回の作品のポイントは?

天野:和紙を使おうと思ったのでひたすらこよりました。

箱根の九頭龍神社の伝説になっている九頭龍の設定をモチーフにしました。

東:海外にもクトゥルーをモチーフとしたアートが多くありますが、和のモチーフは海外には無い発想ですね。

そして、黒史郎さん、今回は≪海洋クトゥルー≫というか、異色のもので。黒さんは以前リトルリトルクトゥルーで最優秀を受賞しています。内容的に通底していますね。

黒史郎(以下、黒・敬称略):自分のクトゥルーの始まりは妖怪系の大百科でした。子供の時見たデンマークの妖怪ダルディビのイメージ、蛸姿で触手、それに人面がちりばめられていて…それをモチーフにしています。

クトゥルー神話賞の時にでてないもの、そして自分で新しい話を作りながらも、モチーフはしっかり保っています。

東:見方によって代わって見える、短い中にも臨場感が感じられて、黒史郎らしいと思いました。

子供の頃の妖怪のイメージが影響していますね。

黒:子供の時のイメージとして、昆虫のイメージも大いにあります。トンボの死にざまや、団子虫を注射器で貫通させたりしていました。

子どもながらのミクロの視点を小説で使っています。クトゥルー。つまり蟲ですね。

 

東:井上雅彦さんは造形で参戦ですが、どうして粘土で表現したのですか?

井上雅彦(以下、井上・敬称略):粘土は良く遊びでやっていて。ドラキュラが溶けていく様子とかね。昔、ヨーロッパの王侯貴族がわざと自分の体がカタツムリに食べられたりして朽ちていくように創らせた作品に影響されての連作を創っていました。

創っているとリラックスできるのです。

東:執筆の合間に創られていられるのですか?

井上:ええ、今回は石膏粘土でつくりました。名前変えて出そうかな、とおもったくらいで。

 

東:朝宮運河さんはアートの方の解説をやっていただきました。大変だったと思いますが、非常によく考えられていて感心しました。

朝宮運河(敬称略):どのように解説しようか悩みました。いわゆる海外でよくあるクトゥルーのタコやイカの触手のようなゲーム系クトゥルーがなくておもしろかったです。

日本的、神道的なものが多くて日本人らしさを感じました。書道とか、いままでに無い表現ですね。

 

児嶋:書道の話がでましたね。京極さん、どうでしたか。

京極:書道と言うのは早いんです。「良しは悪し」です。ラヴクラフトファン、クトゥルーファン、画廊のファンに申し訳ないです。笑

東:では三浦悦子さん、SONICさんにもお話を伺いたいと思います。

SONIC(敬称略):私は人形をコマドリで撮ってアニメーションにしています。ラヴクラフト言っても可愛らしいけれども、邪神的なもの、そして犬とイメージを絡めました。

コマドリ作家はハッピーな雰囲気の作風の方が多く、自分はホラー系の作品が多かったのでだからこそ今回の企画に呼ばれたのかなとも思います。

東:今までの仕事と関連性もあるんですね。SONICさんの作品は可愛さと不気味さが同居していますね。三浦さんはどうですか。

三浦悦子(以下、三浦・敬称略):私は自分自身の作品の背景に母の存在が強くて、作るものが家族・両親で。ラヴクラフトの父の存在が浮かばなくて。母としてつくりました。

東:ラヴクラフトマザーとしてどんなイメージでしたか。

三浦:恐い面を持っていて…

東:ラヴクラフトは軽くマザコンですね父親の欠損から病院にはいったりしたりしていたりしました。皆さんちょっとの接点をいいじぶんの持ち味でだしていますね。本日森馨さんもいらしていますね。

森馨(敬称略):私はほとんど知識がないのですが、伊藤潤二さんのラヴクラフト的作品が印象的です。今回は触手担当でしたね。女性がクトゥルー神話にほとんど出てこないから、自分の人形とどう結びつけようかと思いました。

東:新しい神話の世界ですね。怪奇・ホラー・クトゥルーも男性のファンが多かったけれど、女性もこれを機会に不思議な世界に触れて美術も小説も触れて頂ければと思います。

児嶋:最後になりましたが、フランソワ・アモレッティさんについて少し紹介をしたいと思います。

フランスではゴスロリ系の作品で活躍されていらっしゃる方で、クトゥルーも日本もとても好きな方です。フランスでは、クトゥルーの人気は高くて…

東:フランスではまだクトゥルーがまっとうに評価されていない時代から文芸批評が行われてきたりした国でクトゥルーの人気はとても根強いです。

本当に今回の展示は様々なジャンルの多くの方が参加していますね。このようにクトゥルーは色々な捉え方ができる。

クトゥルー的なファクターは多くつかわれますね。この先もっと広がっていくことでしょう。 (終)

 

2011年5月 於 ヴァニラ画廊

 
ヴァニラ画廊では来週6月27日より、春川ナミオ個展「デカメロン~愛と欲望と心~」を開催致します。
 
鉛筆による緻密な筆致で描かれた、豊満なお尻、お尻、お尻…
春川氏の描く作品は一貫して豊かなお尻を持った美女達とそのお尻に踏みつぶされる男性の姿を描いています。
しかしそれは決してバイオレンスなものではなく、むしろずっと楽園的な、どこか幸福感さえ漂わせているようにも感じられます。
豊饒の女神の様な美しい女性達がおりなす「愛と欲望と心」の遊戯の風景をどうぞご高覧下さいませ。
 
 
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■春川ナミオ個展「デカメロン~愛と欲望と心~」■
 
 
■6月27日~7月9日
平日 12時~19時 土曜・祝日 12時~17時 日曜休廊
 
■入場料500円
 
 この絵は何で描いているのですか?と聞かれることがあります。絵を描きはじめた頃は確か鉛筆を使っていたと思います。自分の絵の下手な事を忘れて用具の責任にしていました。
ペン、筆、その他いろんな用具を使いましたが、なかなか思うように描けません。結局は鉛筆に戻ってしまいました。次によく聞かれるのはどうしてお尻を強調して描くのですか?豊満なお尻が好きだから………それだけです。これまで何百、何千枚とお尻を中心とした絵を描いてきましたが、どれだけの人が自分の絵を知ってくれているだろうか?おそらく誰も知らないでしょう。それでもこの絵は何十年も生き続けているのです。それは鉛筆と共に心で描いているからだと思っています。
 
春川ナミオプロフィール
 
1947年5月生まれ 大阪府出身。 ながらく画業と他の仕事の二足の草鞋をはいていたが、現在は専業となり、雑誌イラスト以外に、AVのパッケージイラストやアドバイザーなども手がけ、よりお尻に密着した創作を意欲的に続ける。
 
皆様のお越しをお待ちしております。
来週6月20日より、ヴァニラ画廊では特別アンコール展示「パゾリーニ・オマージュ~ピエル・パオロ・パゾリーニに捧ぐ~」を開催致します。
 
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■特別アンコール展示「パゾリーニ・オマージュ~ピエル・パオロ・パゾリーニに捧ぐ~」■
 
 
■6月20日~25日   入場料500円
※平日12時~19時 土曜12時~17時
 
■参加作家 稲垣征次・宇野亜喜良・奥津直道・加瀬世市・かふお・カネオヤサチコ・キジメッカ・熊谷蘭治・田亀源五郎・照沼ファリーザ・林良文・宮西計三・森栄喜
(敬称略、50音順)
 
3月に開催され、大好評を博した本展覧会。
会期中に震災が発生した影響で、ご来場になれなかったお客様も多くいらっしゃることと思います。
そこで、この度ヴァニラ画廊では特別アンコール展示として「パゾリーニ・オマージュ」を再度開催することと致しました。
あの震災を耐え抜いた全ての作品達が再び一堂に会します。
生と死、快楽と孤独の狂気を見つめながらも、あくまでも明朗に生と性の賛歌を表現しつつづけたイタリアの詩人・映画監督・小説家であるパゾリーニに捧ぐ、スキャンダラスでロマンティックなオマージュ展。
様々な困難・苦しみにも負けず迸る情熱的な生命力の勢いを、是非作品から感じ取って下さい。
 
皆様のご来場をお待ちしております。
ヴァニラ画廊では、6月13日より城景都個展「FLORAL」を開催致します。
 
◆城景都個展「FLORAL」◆
 
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2011/20110613.html
 
◆6月13日~6月18日
 平日12時~19時 土曜12時~17時
 ※13日は17時からオープニングパーティを開催致します。
 
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◆城景都◆プロフィール
 
愛知県刈谷市にて印度系韓国人の父の三男として生まれる。小学校時代より音楽と絵に興味を持ち、学生時代より音楽活動のかたわら、絵を描いた。傷害事件を起こし、少年院に入るなど荒れた少年時代を送るが、恩師であり、画家である近藤正治氏と出会い、その芸術論に感銘し、その後本格的に絵を描きはじめ、国内外で数々の賞を獲得し、画家への道に進むこととなる。独特のスタイルである、植物の葉脈から導き出したタッチを用いた作風でさらにその名を知られる様になった。近年では蔵書票の製作や、書による個展も開催。2009年には公式ウェブサイトを立ち上げ、2010年には「Twitter」による情報発信も行い、精力的に活動している。从会会員。主な著書に『花の形而上学』『サッフォーたちの饗宴』などがある。
 
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…私は「女の学問」というシリーズの題の卓抜さに、一驚したものだが、こんなしゃれた題(なにやら十八世紀風、サド風な感じがするではないか)をつけることができるほど頭のいい人の絵に、どうしてメタフィジックがないわけがあろうか。ただ、それは絵の背後で堰きとめられていて、あからさまに表面には浮かび上がってこないのだ。そこに覆いがたい欠点を見る人もいようが、私はむしろ、そこにこそ城景都の絵のマニエリスティックな好ましさを感じる。上品さを感じるといってもよい。銅版画でエロティックな女を描く画家は現代日本に掃いて捨てるほどいるだろうが、城景都のように、そこに持って生まれた品の良さを漂わせている画家たるや、おそらく九牛の一毛にもあたるまい。職人的でアカデミックでありながら、自由に生きることによって身につけたかと思われる知性のひらめきが、その繊細な線の運動につねに随伴している様に見えるのも、私がこの画家の絵に惹かれる大きな理由の一つである。表現主義風の重苦しさや曖昧さがなく、本質的に線の画家らしく、すっきりと明るい快楽主義の方向をめざしている点も、私の好みにぴったり合う点だ。
【澁澤龍彦「城 景都あるいはトランプの城」より】 
 
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皆様のお越しをお待ちしております。
 
 
 
 
ヴァニラ画廊では、「聖徴・異形美展~頌フリークス降臨」にあわせて、特別イベント「頌フリークス祭」を開催致します!
 
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■特別イベント 「頌フリークス祭」
64() 午後5時開場 
 
於ヴァニラ画廊 2000(1D)
☆寺嶋真里監督映像作品上映
『アリスが落ちた穴の中~Dark Märchen Show!! 』【企画】愛知芸術文化センター
『姫ころがし』
☆異形エロススィーツ女体盛り
(るなぱあく†Mari†提供)
 
☆イベント開催に関してのご注意☆
(必ずお読みください)
 
・こちらのイベントは、設営の関係上30名限定とさせていただきます。
 
・イベントは予約制ではございません。
 当日は1630にイベント設営の為に一度会場を閉場致します。
 その時点から画廊の扉の外にお並び頂いた順にご入場頂きます。
 
・当日は設営の関係上、イベント開催中は立体作品をご覧になる事ができませんのでご了承ください。
 
皆様のご来場をお待ちしております。
 
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