2011年1月アーカイブ

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ヴァニラ画廊では1月24日(月)より、蔵書票展「バイロスと日本におけるその系譜」を開催致します。

■ 「バイロスと日本におけるその系譜~蔵書票展~」

■参加作家:フランツ・フォン・バイロス/アルフォンス井上/蒲地清爾/多賀新/林由紀子(敬称略)

■1月24日~2月5日  入場料500円

■特別トークイベント

1月29日(土) 日本書票協会会長・内田市五郎氏と参加作家をお迎えして

【入場料1,000円(1D付)17時開場】

 

http://www.vanilla-gallery.com/gallery/Bayros/bayros3.html

 

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昨年開催され、好評を博したバイロスの蔵書票展。

観る人を匂いたつような官能的幻想へと誘うその魅力と、美しさ・優美な系譜は蔵書票という小さな輝きの中で、日本の作家にも受け継がれております。

 

蔵書票とは実に不思議な文化です。

掌に乗るほどに小さな世界には、ぎっしりと濃密な絵画が繊細な描線によって描き込まれています。

その芸術は、神への信仰のためでも戦士を鼓舞するためでもなく、個人に所有される為に生み出されたものです。

自らの蔵書にそっとそれを貼付け、再び表紙を閉じて本棚へと戻すその快感は極めてプライベートなものであり、どこか秘め事のような趣きを感じさせるものでもあります。

 

今展示では日本の蔵書票作家の中でも珠玉の4名の作品とバイロスの蔵書票の展示をあわせて行ないます。蔵書票の魅力とバイロス~現代作家へ繋がる「表現の流れ」をお楽しみ頂ければと思います。

可憐にして上品な猥雑を見事に表現した、蔵書票の芸術家バイロスと、そのバイロスの系譜を確かに継ぐ4名の作家が小さな世界に描き出す、“秘密の花園”。 どうぞじっくりお楽しみ下さいませ。

特別協力:日本書票協会・伊藤文學

 

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■展示作家プロフィール

■フランツ・フォン・バイロス/Franz von Bayros 1866年クロアチアのザクレブ生まれ。6歳の頃から絵を描き始め、ミュンヘンとウィーンの美術学校で絵の勉強をする。1896年、「ワルツ王」作曲家ヨハン・シュトラウス二世の娘と結婚するが、翌年に離婚。その後ミュンヘンにてクニッル美術学校に入学。1904年に初の個展が開かれ成功する。それから挿絵や蔵書票の注文が次々寄せられ、大型版本も3冊出版された。 1911年、自身の画集「化粧台物語」が猥褻罪でミュンヘン警察から告訴されるが、公判を避け、再びウィーンへ戻る。 1913年、二度目の結婚後、1921年、「神曲」をテーマに60枚の水彩画を発表すると、ドイツやイタリアでの展覧会でも絶賛を博し「挿絵王」の称号を捧げられた。 1924年4月2日、脳溢血の為他界。

■アルフォンス井上 プロフィール 1941年神戸生まれ。武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)卒。 この30年間、日本国内各地(神戸・大阪・名古屋・東京・新潟他)で個展開催。世界書票作家展(ミラノ・プラハ・台湾・中国)にも出品。詩集、文学書の装丁、装画やオリジナル銅版画集(書票集・詩画集)が出ている。

■蒲地清爾 プロフィール 1948年生まれ。71年ドローイングによる個展開催(米国ボストン等)。日本美術家連盟工房で銅版画を始める。72年日本版画協会に初出品、準会員となる。78年同展で準会員最優秀賞受賞、会員となる。 72、78、83年日動版画グランプリ展。78年文化庁現代美術選抜展。80、86、93年ソウル国際小品国際版画ビエンナーレ(受賞)。83年東京セントラル美術館版画大賞展。83、85、87、89年中華民国国際版画ビエンナーレ。88年ソウル国際版画ビエンナーレ。89、91年ニューヨーク国際小品版画ビエンナーレ(受賞)。90年ルビン国際版画ビエンナーレ(展覧会賞、特別賞)。90、93年フレヘン国際版画トリエンナーレ(受賞)。93年オランダ国際版画ビエンナーレ、ロッツ国際版画展。96年スロベニア現代日本版画展。ポーランド日本の現代版画展。97年ルーマニア国際小品版画ビエンナーレ。98、01、04年東京国際ミニプリントトリエンナーレ。00年チンタオ国際版画ビエンナーレ(受賞)。その他・ドイツ、イタリア、フランス、ポーランド、スロベニア、日本(受賞)等で蔵書票国際展出品。企画個展11回(ギャラリータマミジアム等)17年間にわたる版画指導(世田谷美術館、目黒区美術館、目黒区民センター等)97年工房設立。テレビでも版画実技指導「芸術に恋して」「美の巨人たち」等・「日曜美術館」にて作品紹介される。現在 日本版画協会会員、「銅夢版画工房」主宰

■多賀新 プロフィール 1946年 北海道に生まれる。 72年 「日本版画協会」に初出品する。以後毎年出品。73~74年 「版画グランプリ展」で受賞する。 個展を初めて開催する。シロタ画廊/東京、以後毎年各地画廊にて開催する。77年 「日本現代版画大賞展」松屋/銀座・78年「日本国際美術展」・80年「日本の版画」展/栃木県立美術館・81年「幻視の森」展/セントラル絵画館・82年「年鑑日本の現代版画`82ベスト5」展アートセンター/東京・ギルバート・ルーパー画廊/フィラデルフィア(米)、以後4回開催、ほかに台湾、フランス、イギリス、西ドイツで3回開催する。83年 「セントラル版画大賞展」で受賞。「現代版画10人」展・86年「版画の新世代」展・時計台ギャラリー/札幌・87年「国際交流版画展」カリフォルニア、スウェーデン、ソウル。 87年~風の会展(古心堂ギャラリー/東京)、从展(東京都美術館)、八月会展(日動画廊/東京) 磊の会展(古心堂ギャラリー)JAG展(池田20世紀美術館/伊東)CWAJ展(東京アメリカンクラブ)などに多数出品。国際展多数招待出品。 2000年「土曜美の朝・版画家多賀新」(NHK)が放映される。2001年十勝の新時代�鶤「多賀新展」北海道立帯広美術館。2002年イギリスにてケンブリッジ大学教授の肖像画を制作する。2004年「四国88ヶ所霊場へんろ文化と美術展」日本橋高島屋、なんば高島屋、横浜高島屋、京都高島屋を巡回。「多賀新展」神田日勝記念館(現神田日勝記念美術館/北海道)2005年第9回市川市民文化賞特別賞受賞。2008年「佐倉・房総ゆかりの作家たち」展・佐倉市立美術館・2009年「OZIBIZM-幻視・屋久島」展・青木画廊/東京、ひとよし森のホール/熊本、ギャルリ青踏/広島。2010年「OZIBIZM」展・鹿島神社参集殿/鏡石「蘇る江戸川乱歩の世界」展・池袋/東武百貨店。「玉線の会」展喜多方市美術館、神田日勝記念美術館。

■林由紀子 プロフィール 1958年東京生まれ、三島在住。 坂東壯一氏に師事。以後、エングレーヴィング技法で蔵書票作品を制作。 個展 2008年12月 「蔵書票職人の贅沢貧乏」 K美術館(静岡県) 2010年7月 「プシュケの震える翅」 啓祐堂ギャラリー(東京)         「林由紀子蔵書票展」 蔵書票ホール(上海) 2010年10月 「プシュケの震える翅」 わいアートギャラリー(大阪)

初めに、神は天地を創造された。地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。
「光あれ。」
こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。神は光と闇とを分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。
(新共同訳聖書 旧約聖書 創世記第一章一節~五節)
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 古代エジプトや古代ギリシャ、キリスト教、仏教、神秘主義
 「光」は古来より現代に至るまで、様々な文化、思想において特別な意味を持つものとされてきた。それは例えば神の慈愛であり、完全なる調和と美の顕れであり、或いは人間の叡智の象徴であったりした。
 「啓蒙」という言葉一つを考えてみてもそれは分かる。つまり「啓蒙」とは、「蒙(くら)きを啓(あき)らむ」=光で照らす、ということである。無知による盲目の暗闇を、知性という光が照らすのだ。
 光とはつまり、人間が理想とするところのものをもたらすものである。その理想とは、知性と理性によって混沌と狂乱の闇を駆逐し、神の御愛によって栄光と安寧を享受する世界である。
 光に照らされることによって私達は周囲の物の輪郭や色を捉えることができる。そこで見出だされるのは確固とした己れであり他者であり、秩序であり論理である。その上に構築される安定した世界を、私達は「現実」として認識し生きてゆく。

 だが同時に私達はどこかで感じている、「全ては闇から始まった」ということを。私達の存在の根底には、淀み蠢く暗闇がある。それは光とて違うことではない。
 闇の内にあっては輪郭も色も、確かな意味を失い融け合う。それは絶対だと思っていた秩序と安定の崩壊である。その闇に融ける時、感じるのは恐怖だろうか、歓喜だろうか、それとも甘美なる苦痛であろうか。いずれにしろそれは私達を抗いがたく誘惑する。

 魔術とは、人間の持つそのような闇への憧憬と関係するものでもあるだろう。時に科学と結びつきながら、現実的な論理や秩序を超えた世界を臨まんとする魔術が古来から人間を魅了してきたのは、人間が自身の信じる理性の世界の限界と、根底に広がる闇の深淵を知っているからでもあるのではないだろうか。

 かのファウスト博士がその類い稀なる知性の果てに悪魔との契約を求めたように、膨れ上がった知識欲と想像力が、今再び暗闇の世界を欲しているのかも知れない。

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 薄暗闇の中、垂れ下がる電球の仄かな灯りに照らされて、夜光の芸術は浮かび上がる。
 この世のものならぬ者達が描き出された絵画、動物の骨格が作り出す美しいフォルム。
 黒い布に覆われた祭壇には魔術に用いる道具がずらりと並び、キャビネットには秘密の小箱のような作品がひっそりとしまわれている。

 地球に昼と夜があるように、私達人間は光と闇を行き来する存在である。どちらか一方に偏ることはできない。その間を漂い、光と闇が重なり混じりあうところに立ち現れる束の間の幻像が人間であり世界であるとするならば、夜光の芸術達もまた世界のひとつの姿である。
 
   現は夢、夢は現。
 
   暗闇の底に沈殿したように静かに犇(ひし)めきあうそれらの姿を、どうぞゆっくりとご観覧頂きたい。
(画廊スタッフ:伊藤)

 

 

 

 

展示は来週122日(土)17時まで。是非お見逃しなく!

今週土曜日の特別トークイベントのお知らせです。

 

特別トークイベント展示作家による夜光芸術の夕べ
115()17時開場
入場料1,500(D)

ゴスフィリア1.JPGイベント開場時間は1700を予定しております。

15日の通常営業はイベント会場設営の為12001630までとなっております。】

今イベントは先着順のご案内となります。予約制ではございませんので、会場外にお並び頂いた順にご案内となります。

 

今展示は会場内が狭く、ご案内人数に限りがございます。早めのご来場をお勧め致しますが、定員に達した場合や、イベントが始まってからはご入場頂けない場合がございますので予めご了承ください。

 

皆さまのご来場をお待ちしております。