2021年1月23日(土) 本日の営業時間 12:00 - 17:00 【展示室A&B】 「機械ノ音」展

'13/4/8 〜 4/13   稲垣征次展
『夢の化身たち~金色の闇の中で~』

 今回は、『夢の化身たち~金色の闇の中で~』と題して、3年ぶりに個展をします。
題名のように、私の妄想の果実である若い裸体が様々に、勢いっぱい自己出張する姿は私にとって辛いこの世の現実という闇の中で希望の炎のような存在なのです。
 展示は近年のカラー作品が中心になりますが、かつての薔薇族時代の作品と、女の子をテーマにした作品を含めて、稲垣征次の全体像が小規模ながら見える展示会にしたいと思っております。
 私の言う金色の闇とは、この世のすべての物事を含んだ豊穣な空間を意味しています。
しかしそこは実は辛い闇でもあるのです。私はそこから現実の幸を手にすることは出来ず、夢の中の幻のように、彼らの美を見つめているだけなのです。(稲垣征次)

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 稲垣さんの絵は、美しい。

 雑誌『薔薇族』にモノクロの鉛筆画を描かれていたころは、それはエロティックながらも透明感があり、繊細ながらも脆くはなく、まるで硬質なガラス細工のような美しさだと思った。
 やがて発表の場を画廊へと移され、作品にも色彩が加わったが、美しさは変わらなかった。
 ただ近年の作品からは、かつての装飾的な要素や記号的な幻想性が後退し、その結果、モチーフである少年(そして時には少女)たちと、より真っ直ぐに向き合っているような、そんな印象がある。
 それはまるで、かつて「ガラス細工のように美しかった」少年たちが、命と魂を与えられて「生きはじめた」かのように見えた。それと同時に、その真っ直ぐさゆえに、作品にもモチーフにも凛とした気品が、より漂い始めたような、そんな気がした。
 透明感のあるエロティシズムは変わらないものの、かつてのそれが、硬いガラスを思わせるものであったとすれば、近作のそれは、硬くもなり柔らかくもなり、冷たさも温もりも同時に兼ね備え、透き通っているようで黄金色の靄がけぶっているようでもあり、光も陰も併せ持ち……と、より美しさとしての深みを増している気がする。

 そう、やはり稲垣さんの絵は、美しいのだ。

 この美しさは、祈りに似ている。(漫画家・Gay Erotic Artist 田亀源五郎)

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二度と現われない画家

 大学時代に出会った一冊の本で、自らが少年愛者であるという自覚を持つことになった。その本は稲垣足穂さんの「少年愛の美学」で、足穂に熱中したがゆえに、ペンネームを稲垣征次と名付けたほどだ。
稲垣君の作品のほとんどが鉛筆画だ。一枚の作品を仕上げるのに、どれだけの時間を費やしていることか。手抜きなどしない、まったくの職人芸といえる。

 もう再び稲垣君のような画家は現れないだろう。(「薔薇族」編集長 伊藤文學)