'11/6/13 ~ 6/18 城 景都展「FLORAL」

城景都◆プロフィール

愛知県刈谷市にて印度系韓国人の父の三男として生まれる。小学校時代より音楽と絵に興味を持ち、学生時代より音楽活動のかたわら、絵を描いた。傷害事件を起こし、少年院に入るなど荒れた少年時代を送るが、恩師であり、画家である近藤正治氏と出会い、その芸術論に感銘し、その後本格的に絵を描きはじめ、国内外で数々の賞を獲得し、画家への道に進むこととなる。独特のスタイルである、植物の葉脈から導き出したタッチを用いた作風でさらにその名を知られる様になった。近年では蔵書票の製作や、書による個展も開催。2009年には公式ウェブサイトを立ち上げ、2010年には「Twitter」による情報発信も行い、精力的に活動している。从会会員。主な著書に『花の形而上学』『サッフォーたちの饗宴』などがある。

私は「女の学問」というシリーズの題の卓抜さに、一驚したものだが、こんなしゃれた題(なにやら十八世紀風、サド風な感じがするではないか)をつけることができるほど頭のいい人の絵に、どうしてメタフィジックがないわけがあろうか。ただ、それは絵の背後で堰きとめられていて、あからさまに表面には浮かび上がってこないのだ。そこに覆いがたい欠点を見る人もいようが、私はむしろ、そこにこそ城景都の絵のマニエリスティックな好ましさを感じる。上品さを感じるといってもよい。銅版画でエロティックな女を描く画家は現代日本に掃いて捨てるほどいるだろうが、城景都のように、そこに持って生まれた品の良さを漂わせている画家たるや、おそらく九牛の一毛にもあたるまい。職人的でアカデミックでありながら、自由に生きることによって身につけたかと思われる知性のひらめきが、その繊細な線の運動につねに随伴している様に見えるのも、私がこの画家の絵に惹かれる大きな理由の一つである。表現主義風の重苦しさや曖昧さがなく、本質的に線の画家らしく、すっきりと明るい快楽主義の方向をめざしている点も、私の好みにぴったり合う点だ。
【澁澤龍彦「城 景都あるいはトランプの城」より】 

城 景都展「FLORAL」