10月26日(月)より森崎里菜展「dress」が始まった。第二回ヴァニラ大賞で宮田徹也賞を受賞し、現在は大学院で人体彫刻の制作に取り掛かる森崎里菜の作品は多くは、一見してわかるように女性が傷を纏っている。顔面に大きな青痣を残している少女。首元から朽ちていく女性。また、バレリーナの美しい衣装を纏った少女像はその煌びやかなレースの下に、夥しいケロイド上の瑕を覗かせる。新作の中でも、白無垢をまとった花嫁と思しき女性像は、全ての歯が抜かれ、お歯黒の代わりに鮮血が彼女の口内を満たしている。

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 どれも言葉にすると凄惨な限りなのだが、森崎の作品に全く悲壮感は感じない。どの作品も口元は優しく微笑み、美しく自信に満ちている。そう、穏やかに自らの傷を誇っているかのように見える。森崎は大学在学中から、セラミックを使用した作品を制作・現在は大学院にて制作を続けている。今回の出品作は長く制作を続けている『Dress』と『S』いう作品シリーズの新作と、『Broom』と題された新シリーズである。

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●森崎:

傷痕がある女の子像を制作すると、DVや暴力がテーマかと問われる事があるのですが、私は傷自体が美しいものと思って制作をしています。私自身が怪我をすることがとても多くて、火傷のケロイドの痕を見ながら制作したり、ものもらいで目の手術をした時の記憶を思いだしたりしながら制作しています。身体改造も見るのは好きで、過去の『Dress』シリーズの中で、スカリフィケーションをモチーフにした作品も制作していました。広義の意味での身体装飾と、体を傷つけること。それに伴う痛み、そして美しい事とは何だろうかという事をテーマに、作品を制作しています。

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今回の個展では、『Dress』シリーズとは別の新作も2点展示しています。1点は焼き物の特性を生かしたシリーズで、火葬しても(窯の中に入れて焼いても)骨にならない女の子です。逆に火葬をすると、色をまとって綺麗になる作品です。

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もう一つは『Broom』と題したシリーズです。焼き物を制作すると、どうしても窯の中で割れてしまうものがあり、その割れを使用して制作しました。最初から内面が壊れているもの、そこから 現れる美しいものをテーマに制作しています。

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傷を付ける事と着飾る事、それが同義になるのは、唯一無二の存在であるという証を身体上、そして心に欲しているからだろうか。彼女達がとても穏やかに微笑むのが、答えのような気がする。

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展示は10月31日(土)まで。細かなディティールまで作りこまれた作品は、見た目と作品の微笑みにより不思議な空気を醸し出している。是非実際にその目で空間を味わっていただきたい。

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森崎里菜展「dress」

▼10月26日(月)~10月31日(土) 入場無料 ヴァニラ画廊展示室B

唇を強く噛んだとき、瞼の裏を切ったとき、爪が剥がれて落ちるとき 

赤や青で身体を彩ることは、痛みの模倣なのではないか。

 その疑問をテーマに、着飾る様々な少女像を展示いたします。

▼森崎里菜プロフィール

1991年生まれ。武蔵野美術大学卒業。着飾ること、傷つけること、痛いこと、美しいことについて、人体彫刻を制作中。

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2015/20151026b.html

【波磨茜也香展覧会特別インタビュー】

ヴァニラ画廊にて2度目の個展を開催する波磨茜也香さんに、制作に関してお聞きいたしました。

 
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ヴァニラスタッフ・田口(以下、VST)今回のタイトルに付いて初めにお聞きできればと思います。「今、事の重大さに気付きました」

何か衝撃的なタイトルですが、個展のタイトルに付けたのは何か切羽詰っていたのでしょうか。

 

波磨(以下、波)

今年の3月に晴れて大学を卒業したのですが、まだ大学在学中にずっと先輩や先生から、

卒業した後の表現を「ほっぽり出される」と言われていたのですが、実感が全く無くて、

いざ自分が卒業してみると、その「ほっぽり出される」感覚が身に染みてわかったんです。

美術大学の特殊な環境や、学生の時は自分は「特別」という感覚があって、

絵を描く事は自信と誇りを持って描いていたんですが、社会に出るとあーただの人なんだなって。まだ卒業して間もないですが...。

その事に気が付きながら、焦りながらも、でも自分は絵を描かないと体が落ち着かないから、描き続けて生きていくわけなんですけれども。

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VST:その事の重大さに気が付いたわけですね。。

(波)気が付きながらも描き続けるのです。絵を描くのは生活の一部なので...。

 

VST:今回の個展では卒業制作から、卒業してからの作品を展示する形ですが、面白いシリーズ揃いですね。

(波)口内炎シリーズが一番新しい作品です。

6月頃にできた口内炎が痛くて痛くて、ちくしょうと思って自分のカメラで接写したんです。(笑)

それをパソコンで加工してみたらすごく綺麗で宇宙みたいだったんです。

 

VST:口内炎がですか(笑)

(波)そう、口内炎がです。自分のインスタグラムに投稿もしましたよ。(笑)

VST:結構な衝撃画像ですよね。

(波)いや、でもこれがweb上で症例写真として、結構画像をアップしている人もいて、人それぞれで面白いのです。

口の中にできるものだから、他人にはその存在はわからないものなのですけれど、それが自分の作品に少し重なるような気がして。

毎日を楽しんでいるように見える可憐な女の子像の中に、色々な痛みとか苦しみとかを内包している感じでしょうか。

私自身も痛みながらも口内炎を楽しんでいる感じでした(笑)

VST:波磨さんの作品の中でも、内面と外面をテーマにした作品は多く見られますね。

(波)このシリーズは作品としては手探りで描きましたが、可憐な女性像の内面というのは、深く掘り下げたいテーマの一つです。

 

VST:他にも今回は色々なシリーズがありますが、波磨さんは色々な画像を収集して、その中の画像からインスパイアされて作品を描く事も多いとお聞きしました。

(波)その収集癖の原点は、思い返せば小学生の頃からなのですが、「モーニング娘。」にはまったのがきっかけでした。

モー娘。に出会うまでは好きなものが周りに言えないくらい恥ずかしがり屋だったのですが、生まれて初めて自ら活動的に、ブロマイドや雑誌の切り抜き、写真集、新聞、漫画の切り抜きまで集め始めました。紙媒体のあらゆるものを集めて、初めてライブにも行って、ダフ屋が販売している公式ではないブロマイドは解像度が粗いとかも知りました(笑)

こんなに輝いていて可愛い女の子たちなのに、内面は外面と比例していないんだと感じたのもその頃です。

モー娘。って色々あったじゃないですか(笑)

 

その後、収集癖は少し収まるのですが、高校に入ってからはネットで画像を集め始めて...

 

VST:ネットの海は広大ですからね(笑)

(波)でもとある時期まではネットで集めた画像も自分でプリントしていたりしていました。(笑)

紙媒体のそこにある実感が嬉しくて収集していたので。

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VST:そうやって集め続けてきた女の子を描き続けているのですね。

(波)ただ、実際に集めた画像を見直すという事は実はあまり無くて、保存ボタンを押す瞬間までが最高に楽しくて、その後はどうでもよくなってしまうのです。だから今では脳内にスクラップしていく感覚ですね。

VST:その広大な脳内スクラップの中からどこかエッセンスを抽出して描く感じでしょうか。

(波)そうですね、そこに自分に起こった事柄も含めて描いていく感じです。

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VST:波磨さんの描く女の子たちは時としてグラビアっぽく感じるのはその収集癖からなのでしょうか。

(波)脳内スクラップからだと、男目線でも女目線でも無くて、集めている時、描いている時も含めて自分は全くの透明人間感覚なんです。

昔は憧れから、女性目線で女の辛さとかも描きこもうとしたこともあったのですが、いざ描いてみると性にあわないし自分にはないかなと。

女の子を描く事は解りやすく言うと、神視点から描いているような感じでしょうか。どこか遠くから見ているような感じです。

 

VST:だからこそ波磨さんの作品には、あっけらかんと突き放したような距離感と、それでいて女の子達のしっかり自立した目線の高さを感じるのかもしれません。

 

この展示にあわせてトークイベントも開催予定ですね。波磨さんのその収集癖の延長線上にあるインスタグラムの使い方を聞いて、都築響一さんが「間違ったインスタグラムの使い方だ!」と。(笑)今回は作品制作における画像収集からトークを広げていきたいとお聞きしました。少しさわりだけ聞かせて頂けますか?

(波)間違っているかな?(笑)インスタグラムは使ってみるととても面白くて...絶対的に笑顔の女の子の写真を追い求めている時に、

その中で、笑顔が群を抜いて可愛い女の子がいて、フォローせずに毎日ずっとハッシュタグを辿って検索掛けたりして

そしたら彼氏が全然格好良くなくて(笑)毎日ストーキングしていると二人の日常が見えてきちゃう。そしてこちらでは脳内スクラップが始まるんです。

VST:間違った使い方です!(笑)

(波)それこそ先ほどのお話と一緒で、神視点で見ている感じです。

でも彼女の高校卒業を境に、彼女のインスタグラムの中から、彼氏の存在がどんどん薄くなっていって、二人の日常と彼女の生活が変わっていってしまうのが怖くて見なくなってしまいました。(笑)

 

VST:そうやって集めた画像がどのような形で制作に繋がるのか、波磨さんのiphone画像を投影しつつお聞きできると。

(波)都築さんがお隣にいて下さるから心強いです!

VST:間違ったインスタグラム講座ですね(笑)しかし、この新作と画像がオーバーラップして制作のお話を聞けるのはとても興味深いです。

(波)是非個展に足をお運び頂ければ幸いです。そしてトークショーも気負わずにお話したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

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'15/7/6 〜 7/18波磨茜也香展「今、事の重大さに気付きました」

 

初個展「私は非常に気分が良いです」を経ても尚、独断と偏見で妄想し制作し続ける波磨茜也香の第二回目の個展。

「学生」という肩書きが無くなって数ヶ月。自分の現状に気付いて無いようでやや気付き始めた波磨の独り善がりで大袈裟な私信。

妄想から生まれた毎日のびのびと健やかに過ごす少女達。

大判の油彩から音楽が聞こえてきそうな豊かなドローイングまで一同に展示をいたします。是非ご堪能下さい。

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2015/20150706b.html

 

 

 

展覧会特別トークイベント 波磨茜也香×都築響一

 

「波磨茜也香 今日の一枚 ~毎日誰かに有難う~」

 

7月17日(金)19時〜20時 展覧会室B 入場料1,500円(ワンドリンク付)

定員25名(予約制ではありません。当日お並び頂いた順にご入場頂きます。)

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白い何かの集合体が、渦を巻くようにレリーフの中に納まっている。
なんとそれは全て親指!

親指をモチーフに制作を続ける伊藤啓恵さんに、制作に付いてお聞きいたしました。

 

VA:伊藤さんの作品制作歴に付いて、教えて頂けますか?

I(伊藤):2004年より親指をテーマに制作しています。
初めは親指の絵を描いていたのですが、粘土などを手でこねる作業が楽しくなり、2008年ぐらいから立体作品を作るようになりました。

VA:(いつも聞かれていると思いますが...)なぜ、親指にこだわり制作されているのでしょうか。

I:私は、愛を親指という形で表現しています。きっかけは、何を描いたらいいのか悩んでいたとき、当時習っていた尊敬するピアノの先生の一言でした。大切な人の一部をパッチワークのようにいっぱい繋げたら面白いかも、そこには愛があるからスゴイ物が出来そうよと。

VA:伊藤さんの中で、「愛」をテーマに作品制作を行い、その形として「好きな人の親指」をモチーフにしているのですね。

I:目でも耳でもなく、指にしようと思いました。指は指でも他の形とは異なる親指を!親指は、1本だけ横についており、私にはちょっと変な形をしているように思います。物をつかんだり、筆で絵を描いたり、かなり重要なポジション。すごく必要な部位。それをテーマにしたら面白いと思い始めました。そんな親指を、たくさん作り作品にし、愛を感じようとしています。

VA:作品の中で、親指が痛めつけられている表現もありますが、なるほどあまり「痛み」を感じないのは、愛おしくて仕方がないといった意味合いでの加虐性を感じるからかもしれません。
ちなみにこの親指は誰かの親指の型どりなのでしょうか。

I:"大切な人" の型どりです。

VA:今回の新作も親指が所狭しと画廊内に並びますね。今回の個展の見所を教えて下さい。

I:最近は、背景にカラーの円をランダムに広げていく感じのものを作っています。円を描いているとなぜか心が落ち着き、無の状態になり、瞑想をしているような心地良い気持ちでずっと円を描いていたくなるのです。円と親指を織り交ぜて、宇宙空間のようなものを表現できたらと思っております。いつも見慣れている親指を、この大量の親指で現実を離れ、異空間の幻想の世界を感じていただけたらうれしいです。

 

愛するものの断片を並べて蒐集したいという、人の心の奥底の願望を炙り出すような、衝撃的な作品の数々。
一見グロテスクで猟奇的とも見えるが、ずらりと並んだ親指を眺めていると、「強迫観念」や「執着」といった感情よりも溢れるような「愛情」を強く感じます。

伊藤啓恵展「親指幻想」は5月19日(月)〜5月31日(土)まで、是非足をお運び下さい。
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140519a.html

 


 

愛を親指という形で表現しています。
その親指を自分だけのものにしたいという思いで、たくさんの親指を作品にしています。
そして、自分の作品を繰り返し触れ、見つめる時、親指のあなたを感じることができるのです。

伊藤啓恵

静岡県浜松市出身
2000年より、はままつ美術研究所にて学び、2004年親指をテーマに制作。

2009 「第1回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2009 個展 「Big finger」
(浜松市・passeretti café)
2010 「第2回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2010 「第3回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2011 「第3回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・ビオラ田町)
2012 個展 「SWEET FINGER」
(浜松市・passeretti café)
2012 個展 「収集」
(豊橋市・アートエイジギャラリー)
2012 「第4回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)
2012 「第4回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2013 「ヴァニラ画廊公募展」出展
(東京銀座・ヴァニラ画廊)
2013 「第5回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)

3月17日より開催している展覧会、「ヴァニラ画廊大賞展」。ヴァニラ画廊主催の公募に応募し、審査員の目に留まった約40名の作品を発表中です。

審査員は昨年に引き続き、写真家・都築響一氏、美術評論家・宮田徹也氏、そして新たに美術評論家の南嶌宏氏が加わり、より豊かに、鑑賞者を驚愕せしめる未来への才能を厳選いたしました。

溢れんばかりの豊かな想像力と表現力を兼ね備えた作品が集まる中、大賞に輝いたのは波磨茜也香さんの「女学生」です。

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 「女学生」(162×130㎝・キャンバス・油彩・クレヨン)

「塗り残しの画面を放置するかの素振りを見せながら、「女子高生」のメタフォリカルな性器と見立てるかのような、「口」という交 換行為の器官への注視を促すことによって、画面全体に抜き差しならない性的な緊張感を生み出すことに成功している。」(南嶌宏)

「粗暴さがポジティブなエネルギーに転化する、スリリングな瞬間に僕らは立ち会わされている」(都築響一)

「充分な画力を持ち、空虚感が満ち溢れる今日の日本の動向に対して目を向け作品として昇華させる力に、これからもエールを送りたい。」(宮田徹也)

と各審査員を唸らせた彼女に、受賞の喜びを語っていただ」きました。

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この度は「第二回ヴァニラ画廊大賞」にて「女学生」を大賞に選んで頂き有り難う御座います。

初めての100号、初めての公募への挑戦、初めての受賞、、、etc、この「女学生」という作品には様々な「初めて」が込められています。

その「初めて」をヴァニラ画廊さんに捧げられるなんて、大変光栄です。

 とんでもないパワーを日常生活にてさらりと放ち、何食わぬ顔でスタスタと各々の目的地へ向かう彼女達の一瞬を描きました。

 今日も元気に登下校する女学生達を遠目に見ながら、波磨も元気に生きていこうと思います。(波磨茜也香)

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「第二回ヴァニラ画廊大賞」展は29日(土)まで。

100号という大きなスケールの第二回ヴァニラ画廊大賞大賞作品「女学生」を始め、各賞受賞作品等の発表を行っています。

月曜日~木曜日は12:00~19:00、金曜日は12:00~20:00、最終日29日土曜日は12:00~17:00までの営業です。

入場無料、フレッシュな感動にぜひお立合いください。

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♡第二回ヴァニラ画廊大賞展選評はコチラ

♡第二回ヴァニラ画廊大賞展展覧会特設ページはコチラ

 

 

「デモーニッシュとはどんな概念にも、ましてどんな言葉にも捉えきれぬようなものである。『神的』でもなく、『人間的』でもない。そして『悪魔的なもの』でもなく、『天使的なもの』でもない。それは『偶然』と『神の摂理』のようなものであり、無意識の領域に働く捉え難い超人間的・超自然的な力により、悟性や理性では解き明かし得ないもののことであり、我らを支配しているものである」

ゲーテのこの言葉のように、現在ヴァニラ画廊A室で開催中の安蘭展で展示している新作は捉えどころのない、何か不思議な感覚を呼び起こします。

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あるものは幽玄の彼方からちらりと顔を覗かせ、またあるものは自らの変化(これが醜い変化なのか、美しい孵化なのかはわからない。)を誇るような視線でこちらを見据えます。

全ての作品が収められた空間は、作品それぞれが共鳴をしているような感覚を覚えます。

しかしながら「解き明かし得ないものの事」という言葉に対して、新作が光と祈りに満ちている事は確信を持って感じる事ができるでしょう。

 

 

安蘭ミニインタビュー

 

◆絵を描き始めたきっかけなどありますか?

安蘭:小さい頃病弱で、あまり外で遊ぶことが制限されていたので、その代わりに室内でできる遊びとして絵を描いていました。それから大学で本格的に学ぶようになり、

卒業してから発表するようになりました。

 

◆一貫して耽美的な作風ですが、こちらも昔から描いていたのでしょうか。

安蘭:そうですね。小さい頃描いていたお姫様から作風は変わっていませんね()ずっと好きなものを描いてきました。

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安蘭さんが作品を描くにあたって影響を受けた作家さんはいらっしゃいますか?

そうですね...ペンで描くようになったのは、やはりビアズリーの作品の影響が大きいです。

それと大学の頃、友人が学内の図書室で見つけて、私に貸してくれたのが吉田良さんの作品集でした。

それはもう本当に衝撃的で、初めて球体関節人形を見たのですが、それ以来ある一定の期間描くものは球体関節人形ばかりでした。()

(偶然ではありますが、同時期に開催中の展示室Bの愛実さんは吉田先生の生徒さんでありました。)

当時は球体関節人形に関する事も、今のようにすぐに情報を得る事が出来なくて、「マリアの心臓」に行っては人形たちに見入っていました。

この世界が私の中で美しいと認識して、これが表現したいものだと感じました。

美しいだけではない何か、念を感じるというのでしょうか。自分自身が球体関節人形に対峙した時に感じた衝撃のような、言葉には出来ないけれど深く魂を捕えられるような作品を制作したいと強く思いました。

 

◆今回の作品たちは確かに何かオーラを感じますね。

細かな点描を描いている時などは写経しているような心持でした。(

そのような作品を目指しているので、感じて頂けると非常に嬉しいです。

 

今回の展示の見所を教えて下さい。

今回は作品に取り掛かるまで、構想段階がとても長かったのですが、熟考した分それが作品に反映させることが出来たと思います。

今回の作品展から少しづつ新しい表現を取り入れようと思い、色々と挑戦しました。多くの方に足をお運び頂ければ幸いです。

 

安蘭さん、ありがとうございました。

作品それぞれが共鳴し合うような会場にて、待望の新作をご高覧下さい。

 

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展覧会は1010日まで、愛実さんの展示とあわせて見逃せない展覧会です。

'13/9/30 10/10  安蘭展「Dämonisch」(デモーニッシュ)

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2013/20130930a.html

 

 

ヴァニラ画廊では527()61()までの1週間、向川貴晃氏の個展を開催致します。氏の活動の中でも「ヴィジュアル系」をメインコンセプトに据えては初めての個展となります。

 

個展を開催するにあたり、向川氏と、その作品の大元となる詩を書く(向川氏の作品は、この詩よりインスパイアされ制作されたものです。)「黒鬼劉刺覇」氏に、特別インタビューを敢行いたしました!

 

 

■向川さん、本日は宜しくお願い致します。

(黒鬼劉刺覇氏はどうやら遅れているみたいで、姿が見えません。。)

 

■まずは作品に関して、お聞きしたいと思います。向川さんが、絵画を志すきっかけなどがありましたら、教えて頂けますでしょうか。

 

向川(以下向)12歳頃から独学で油絵をはじめましたが、画家にはなりたくはなかったデス。その頃には絵を描くことを仕事にするとは決めていましたが、絵画を志す決定的なきっかけはありません。自然と絵画を描くことが表現手段となっていきました。

 

12歳の時からいきなり油彩を独学でというのは、面白いですね。

向川さんの作品はシリーズそれぞれに明確なコンセプトがあり、2003年から2004年あたりの初期の作品と現在の作品まで、多岐にわたり、様々な作品を制作なさっていらっしゃいますが、2008年~2009年あたりからゴシック的、オカルト的なモチーフが登場するように感じました。元々老い等をテーマに制作をされており、それもゴシック的なモチーフではあると思うのですが、現在の「ヴィジュアル系」シリーズに通ずるようなモチーフを絵画として描こうと思ったきっかけなどはありますか?

 

向「初期の作品は、その時期にしか描けないものをただ一生懸命に描いていました。身近な人間の死について、本気で純粋に絵画に残す必要があるという義務感もあって。

自分で自ら作った束縛も終わったと同時に、これまでやってきた制作が自分の本来やりたかったことではないと感じ始めたことです。」

 

■では自らのやりたい絵画表現を突き詰めていった形が、このシリーズになるのですね。

 

向「『ヴィジュアル系』シリーズを始めたのは、複雑な事情からです。

本来やりたかったことを突き詰めて行って原点に還ったこともきっかけですが、経験的に絵画という表現や発表の形に限界を感じはじめてからです。

音楽や映画などのように複合的な感覚を刺激するものには叶わない感じといった所を実感したからではと思います。

 

絵画ではライブのように大勢の人を熱狂的に盛り上げて感動させることができない。絵画表現がそういうものだと言ってしまえばそれまでですが、おもしろくない。

 

日本には様々な絵画的なものが溢れ、世界的にみても美術館も美術愛好家も多いですが、現役画家の芸術としての社会的認知が低く危機的状況だと感じています。

 

有名な漫画家やダヴィンチ、フェルメールの展覧会には長蛇の列で並んでも、未だに絵画には閉鎖的なおかしなイメージがつきまとっているように感じます。

絵画をただ観て自由に感じてくださいと言っても、日本人にはそれが中々できないと個人的に思っています。

「黒鬼劉刺覇」氏の書く詩は、説明文的な補助の役割としての詩でもあります。

音楽には詩があって音があるのなら、絵画に詩があっても良い。

 

現役の画家には失礼ですが、ダサイ画家のイメージをぶち壊したいのと、絵画表現にも音楽表現と同じような強さで魅せることができないかというのが『ヴィジュアル系シリーズ』の試みです。

 


■なるほど、諸々の試行錯誤の末に、このシリーズが生まれたのですね。

このヴィジュアル系シリーズは向川さんが以前お描きになっていた「レンブラントシリーズ」からの発展系だというを、目にしたことがあります。

 その大元になった「レンブラントシリーズ」についてもお聞かせ頂けますか?

(向川氏は大学院博士論文にて「絵画における調子とアウラ -レンブラントと写真術の考察を通して-」を発表、学術的にレンブラントを研究していた。)

 

向「レンブラントは老人像を多く残していて、その描写に興味があったのが研究の始まりです。特に人間の皮膚の描写の仕方についてです。レンブラントの古典絵画技法は、油絵の具そのものの魅力を最大限に発揮したもので、現代の画家の絵具の扱い方とは全く違います。

具体的に言えば、単純に絵具をべた塗りするのではなく、重層的に絵具を扱って透明感を利用した視覚的に複雑な効果を生み出す描法です。

レンブラントが自分で練って作っていた絵具は、現代の市販のチューブ入り絵具と若干違うのですが、その微妙な違いが作品に大きな影響を与えます。全てではないですが、自分で練った絵具を使用し、レンブラント技法を効果的に応用しています。」

 

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向「このヴィジュアル系シリーズにおいてはレンブラントは全く意識していません。

意識していませんが、強いて言えば物質的な絵画の魅力を活かすことや、様々なジャンルを手がけたレンブラントの探究心は勉強になっています。」

 

■今回の展覧会のメインビジュアルになっている作品はとてもインパクトのある作品ですが、宗教画のイメージをモチーフを描かれることについてもお聞きしたいと思います。

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向「宗教的な題材を強く意識して描いた訳ではなく、結果的に宗教的な要素が含まれていったと思います。

ヴィジュアル系などの音楽の世界観にも宗教的な題材を扱ったものが多いので、その影響が大きいかもしれません。

 

人の痛みを扱ったものを表現したいと思っているのですが、宗教画には痛みを表現したものが多いので感覚的に作品に取り込んでいるような気もします。

この『審判』という作品については、ある有名な彫刻作品を独自の解釈で完全に作り替えたものです。」

 

■なるほど、またこの大きさ(162.0×162.0cm)も相まって、本当に凄い迫力の作品です。

 

■また、このシリーズと切っても切れない関係である音楽についてもお伺いしたいと思います。

音楽が向川さんの作品にもたらした影響はどのようなものですか?

 

向「表現の幅の広さと強さ、ファンとの関係性も含めた活動形態、自分の絵画表現の可能性に希望を与えました。」

 


■その表現活動全てを含めて、「ヴィジュアル系」シリーズなのですね。

このシリーズの作品は()をモチーフに制作なさっているとの事、向川さんは実際に音楽を嗜まれますか?

 

向「制作中はほぼ音楽を流して制作します。幼少のころはピアノを習っていましたが、スキルが低いです。音楽もやりたいのですが、ほぼ絵画制作を中心に生活しているため本気で手が付けられません。唱うのは好きで、運転中は時間が勿体ないので必ず本気で唱います。何時間でも唱えます。

 

■唱っていらっしゃる向川さんを思い浮かべてしまいました。。(

ベタな質問で申し訳ないのですが、影響を受けたアーティストはいますか?

 

向「X JAPANBUCK-TICKをはじめ90年代ヴィジュアル系。名古屋系が好きでした。考え方に関して影響を受けているのは、YOSHIKIさんです。」

 

■そうでしたか。向川さんのヴィジュアル系シリーズは絵画の枠を飛び出して、ブログ等でもその活動を行っておりますが、90年代のヴィジュアル系バンドとファンの関係性をかなり冷静に分析し、メタ構造化していると思います。ブログも含めて、このシリーズの意図する部分を教えて頂けますか?

 

向「90年代ヴィジュアル系は自由の象徴だと思います。

今振り返れば、あり得ない格好や表現を攻撃的にできた時代。今は冷静におとなしくなりすぎていて、空気を読むような時代だと感じています。

表現する者にとっては、90年代のような勢いがないと何も変えられないと思います。

 

Xが昔は『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に出ていたのを知っていますか?HIDEさんのX加入後の初仕事となったんですが。YOSHIKIさんはゲイリー・ヨシキという名前で、運動会に出たりしていました。いくらいい曲を作っていても聴いてもらえなければ意味が無い、知名度が必要と判断したからです。ブログがコメディタッチなのはそれを受け継いだのと、プロモーション的な役割があります。

 

また、ヴィジュアル系のダークなイメージとは反して、バンドの会報などではメンバーの違った側面が見られるのも魅力的だったと思います。

特にファンとの関係性は重要で、そのつながりの中で大きく活動も展開していったと思います。

 

『ヴィジュアル系』を絵画で扱う上では、こういった要素も外せません。

絵画の場合は音楽のライブ活動とは違い、個展を年間に何度もできる訳ではありませんし、ブログでも何かしらの表現ができると考えています。ファンの方には絵画以外の形でも、楽しんでいただきたいのです。

このヴィジュアル系シリーズでは、画家とファンの方との既存の関わり方も改築し、画家のイメージを変革したいと思っています。」

 

■なるほど、絵画というものを一つの切り口にして、多面的な面白さを見出せます。

 

ブログに登場するもう一人の主役である詩を書くということと絵を描く事と二つの人格(黒鬼劉氏)に分裂しての制作という事は、何か制作の上で思いはあるのでしょうか?

 


ここまで向川氏のお話をお伺いしていたところ、突然妖しい雲霧が...!わあ!月が真っ赤であります‼

ヴァニラ画廊のある第二蒲田ビルのエレベーターから現れたのは、鴉に、蝙蝠に、狼に、コブラまで‼

シヴァ様の登場です!(遅刻。)

 

刺覇(シヴァ)「分裂ではなく別人格である...せ、設定でもない...貴様、殺害するぞ。我輩の天才的なインスピレーションによって産まれた詩からこそ、向川氏の絵画世界も大きく広がりが出るのである。描かれるモチーフには、詩によって様々な解釈が可能な命が吹き込まれるのだ。鑑賞者の心に音楽的な強さをダイレクトにぶつけるには、この詩と絵画双方による相乗効果が重要なのである。そういう意味で、我輩と向川氏は【二心同体】ということなのだ!」

 

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ヴァニラ画廊内が一気に暗黒の闇に包まれました!(早くインタビューを済ませてしまいたい‼)

 


■今回の展覧会について、見どころを教えて頂けますか?

 

向「現代アートの屁理屈っぽさ一切ありません。作品には様々な意味を込めているので、作品が良いか悪いかは好きか嫌いかで判断していただいて構いません。詩を詠んでいただき、僕たちの世界観を堪能していただけたらと思います。」



刺覇(シヴァ)「見どころは全部だ!これを読んだ貴様らには呪いをかけてやった!『審判観にいかなあ観念!!!』会場に来なければ呪いは解けんぞ...苦苦苦苦。永遠に地獄を彷徨うことになるであろう!夜露死苦!」

 

 

■うぎゃああああ!!!...いかなあかん!これは、審判観にいかなあ観念!!本日はありがとうございました‼

 

向川氏と、シヴァ様は仲良く蒲田ビルの小さなエレベーターに乗り込みお帰りになりました。(鴉と蝙蝠と狼とコブラも。)

先ほどまでの霧は晴れ、月はいつものように優しい光を湛えています。。

 

■向川氏の油彩の大作も含めて、その深い世界観がヴァニラ画廊に展開する1週間、是非足をお運び頂き、大迫力の作品をご高覧下さい。

(会期中はシヴァ様は降臨するのでしょうか。。ヴァニラ画廊にかかる月が赤い時にはきっと。。)

 

 

 

 

「顔こそエロス」

そう言い切る作家・水元正也。鼻をつままれ目玉が飛び出そうな程まぶたをめくられ歪められた女性の顔の絵…そのような彼の作品を記憶されている方も多いかもしれない。

しかし最近の水元正也作品はどこか違う。

派手に顔を変形させることはなく、絵は静寂な空気に包まれている。

しかしその静けさこそが不穏なムードを最大限に高め、ふっと精神の恐ろしい袋小路に迷い込んだかのような表情を鉛筆一本で描き出す。

2012813日(月)から818日(土)まで行われる水元正也展「予防接種」を目前とした氏に作品へのこだわり、個展の意気込を伺った。静かに水面下で遂行される密事の真意とは何か!?

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―水元さんの作品は主に女性の顔の描写がメインですね。水元さんにとって身体は表現する対象外なのですか?

水元(以下:水)そうでもありません。この人の体がどうしても描きたい!というモデルさんがいれば体も描きます。それが特殊な体というわけでもなく、ごく普通の身体です。顔程のこだわりはないというだけのものです。

―なるほど。水元さんの顔へのこだわりはモデルによって相当かわりますね。今まで女性ばかり描いている水元さんですが、男性をモデルに描こうと思った事はありませんか?

水:そうですね、こういう顔が好きというよりもこの人だったらこうしたい、というポーズを描いています。いちおう異性愛者なので女性が多いですが、本当に顔だけにこだわるなら、ベストなパーツに出会えれば男性も描くかもしれません。

DMの作品にも現われていますが、別に吐いている訳でも顔を歪められている訳でもないのに不穏な感じが以前に比べ増しているような気がします。この極端すぎるローアングルも象徴的です。ローアングルにこだわる理由はありますか?

水:以前はとくにローアングルに対するこだわりはありませんでした。実は自分の作品のローアングルの比率の高さに気が付いたのも、はじめてインタビューを受けた時にいつも下から見上げている構図を指摘されたからです。

そういえば何故だろうと考えました。基本的に自分がマゾヒストで、女性に見上げられるのが大嫌いなんです。上目遣いとか吐き気がする(笑)そうするうちに知らず知らずのうちに上から女性を見下ろすことを避け、見上げるようになっていったと思います。

―アイドルのグラビアなんかの構図は水元さんにとって地獄ですね(笑)話は変わりますが、水元さんの作品には質感へのこだわりをとても強く感じます。

水:色々な物の質感が好きです。壁の肌理、床のしみ、人の質感。そういったものを描いているうちにどんどんと細かくなっていきます。しかしやり過ぎるとうっとうしくなってしまいます。

例えば舌はとても難しいです。舌を描いている人が他に居なくて参考にするものありませんしね。どこまで描きこんでいいのかわからないのです。描きこみ過ぎるとタオルみたいになって、逆につるっぺただとハムかソーセージのよう。肉に限りなく近い、肉じゃないものとでもいうのでしょうか(笑)僕の絵の場合、質感の描きわけがとても大切です、特に口は質感が異なるもののオンパレードですね。

―そうですか。水元さんの作品には絵の上に重ねて加工をする技法が見受けられます。このように作品を「汚す」行為はどうしてするのですか?

水:「汚し」は古い映像やフィルムの砂嵐やよごれの質感、壁や床が朽ちてボロボロになる質感、ジョエル=ピーター・ウィトキンや荒木経惟さんなどの影響を受けました。僕は基本写実でデフォルメしません。その結果、コントロールできずに偶然できる形を探したい欲求がある。綺麗に順序よく作るよりは、一旦わざとずらして力ずくで戻すのが好きで。もちろん汚しを入れ過ぎてお蔵入りもあります。そのリスクの高さ、そして誰も他の人がやらないというのが良いです。よく頭がおかしいって言われます(笑)

上手くいったものと失敗ははっきり分かれます。最近はお蔵入りになりっぱなしももったいないから、なんとかしようと。そうやってごまかしているうちにどうせ失敗作だからこれ以上悪くなる事はないと大胆になっていきます。上手くいっていると壊すのが怖くなってしまって今までと同じ上手くいくパターンしかできないですしね。

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―個展のもう一つの目玉・水元さんの言葉のセンスも毎回楽しみなのですが、今回の「予防接種」と言うタイトルになった理由を教えて下さい。

水:今まではずっと長めのタイトル(2009年「子供たちは森に消えた」、2010年「王子様の口づけは、まだかしら」、2011年「青ざめた白い鳥」)でしたが、次は短くてインパクトがあるのにしようと考えていました。今回のタイトル「予防接種」は、風邪を引いて病院に行った時に待合室のポスターに「予防接種を受けましょう」とあって。これだと思いました(笑)音の響きが良いと思います。

 

―そうでしたか、今回はストレートに来たなと思いました(笑)今回の新作の見どころを教えて下さい。

水:描きこみが一層濃密になりました。描くスピードが速くなった分、より細かく描くようになりました。そうしたら余計時間がかかるようになりましたけれど(笑)今回の個展では新作を10点程展示します。

また旧作も展示しますが少し手を加えています。以前は一度完成したものに手を入れないこだわりがあったけれども、最近は完成して展示して、改めて自分の作品を眺めると見えなかったところが見えてくることもあります。それを放置するのではなく手を加えて発表しようと考えています。やり過ぎてしまったり、「完成した!」と思っても壊してしまったり…必ずしも加筆が良いとは限りません。何を描くか、何を描かないかの境界線ですね。

今までは女性の顔を変形させている絵のイメージを持たれている方も多いかとは思いますが、あくまでモデルさんの素顔があって、その素顔の状態が好きで変形させています。今回は今まで知られていないもう片方の部分、モデルさんの素顔の状態をメインに描いています。しかしそれでも普通にはならないのです。

今までは僕が鼻をつまみ、口に手を入れる現場を表現していましたが、今回は行為を予感させるというような、作品を観ている人にも「やってみたい」という気持ちを喚起させるような、そんな作品が多いです。

硬い質感、触ってみたい、つまんでみたい、顔をギリギリまで近付けて見てほしい質感。様々な質感を味わってもらいたいです。

 

―精神状態の一番暗い部分がふっとあらわれる、独特の怖さ不吉さがにじみでますね。普通に戻る事でさらに怖さが増してくる。そして前より画面が落ち着きましたね、とても静かになった。画面がだんだん無音になっていく感じですね。

水:確かに前はごちゃごちゃしていたかもしれないですね。作品の中のノイズがなくなりました。

 

―今までの個展などで感じた事ですが、水元さんの作品をサディスト目線で鑑賞される方も多いと思います。そのように作品を解釈される事についてどう思いますか?

水:難しいですね、僕と似た趣味の人にであうことはないのですが、やはりサディスト目線がすごく多い。僕は鼻フックとかはしたくないんです。でも鼻フックをする人を否定するという意味ではありません。自分とは趣味が違う事を理解して欲しいとかではなく、ただなんとなくわかってほしいです。

―さらに今回、リリース文章に「マニアはマニアを見抜く」という一文があります。マニアという言葉が初めて出てきましたね。「マニア」の捉え方がマニアの人なのだなぁと思うのですが、水元さんは自分自身をマニアととらえますか

水:普通では無いかもしれません。マニアを名乗るポルノなんかだとマニアが本当に好きで作っているモノと、素人がマニアを真似して作っているのが分かってしまいます。

もし自分と同じ嗜好の人と会ったら、「マニアじゃなくて普通じゃん!」って思われるかもしれません。また、意見が違うなら議論するとか相手のこだわりを知ってみたいと思います。マニアを名乗ってはいますが、自分がどこまで深いマニアなのかわからない。

エロティックな作品を描くアーティストといいながら女性の顔しか描かないのは他に居ないのではと思います。僕にとって顔こそ性的魅力なのです。

―では813日からの1週間、ヴァニラ画廊は水元さんにとって最高にエロティックな場へと変わりますね。

水:本当は顔なんか人にさらして歩いてはいけないものですよ!(笑)

 

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水元正也展「予防接種」

813日(月)~818日(土)営業時間:12001900 ※最終日は17時まで

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2012/20120813.html

画家でありマンガ家、ロックミュージシャン、と様々な顔を持つ宮西計三。
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18日の聖ヴァニラ学園「朗読劇『青髭』」では朗読のパフォーマンスを行った。宮西はライブパフォーマンス終了後のアフタートークにて個展「ペニス主義」にかける想いを語った。

聞き手:内藤巽(ヴァニラ画廊オーナー)
 

 

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◇◆◇◆
 
内藤:あえて巷がエロスに関して色々とうるさい中、「ペニス主義」という個展名タイトルに込めた想いを教えて下さい。
 
宮西:我々男にとってペニスは大事なものであって(笑)、プラス面・マイナス面の両方兼ね備えた身体の一部です。肉体の付属物としてどのようにかかわっていくべきなのでしょうか。
人間が感じる快楽、恍惚それはある一種の崇高な喜びの、SEXはその「見本」です。ペニスとは人間を人間として縛る為の道具にすぎない。その人間が縛られる道具で快楽に終始してしまうと、幻想的な喜びに出会えません。更に次なる段階に進まなくてはなりません。幻想的な喜び、霊的な喜びへと変化し、「性」は最終的に人間が人間であって人間を脱却する方法にとなるのです。
男性ならペニスがあります。個人的に言うと、ペニスを捨てること、男性であるがゆえにペニスを捨てて女性化する、境をなくしたあとに、そしてまたペニスにたち戻って、もう一度子供の頃のようにペニスをいじる(作業する)。
その男としての作業の一つに「たらしこむ」という行為があります。いかに自分の性を他者に「たらしこむ」か。たらしこみ方は関係を求めることによって違う次元の喜びを手に入れるような違う次元の喜びの入り口、それが性の概念なのではないでしょうか。私は普段の生活において、自分の性を霊的に消化している、その消化の仕方こそが自分今世紀の人間を変身させるものと思うのです。そして変わっていかなければならないと考えるのです。精神的にも肉体的にも変身していかなければならない!自分の性の力によって、形的にも内面的にもより良く変化していかなければならない、今こそセックスに対峙しないといけない!
そこで私はもう一度、セックスという概念を土台に考えました。そういう意味において、あえて一番分かりやすい看板として「ペニス主義」という言葉を用いているのです。
 
 
内藤:ペニスというもの憧れを抱く気持ちはよくわかります。男は少年の頃から皆そうですよね。
でも、今回、私に見見せてくれた絵は「ペニス主義」と打ちながらも、ただペニスをモチーフにしたり描いたりしたりする画では無く、宮西さんならではの精緻なタッチとアイディアな素晴らしいと思いました。この人はどうやってこの線かいているのかと思うほど緻密な世界です。天才ですね。宮西さんの仕事は驚きの連続です。そして顔面がペニスで形成されている婦人の絵の様に、奇妙奇天烈、宮西さんにしか書けない独特な世界。宮西さんの目の付けどころは興味深いですね。
 
宮西:日本人の体形が少し変わってきましたね、容姿がかなり変わりました。本来、霊的な性、例えば見詰めただけで恍惚感が得られるとでもいうのでしょうか。人と人との接触が無くても幸福が味わえる、霊の世界の恍惚感を人はひょっとして体現できるのではと私は考えていいます。その恍惚感を体現する為に歴史があり、人間は変わるための何世紀かをすごしてきていると考えることもできます。
人間がSEXに薄められた快楽、特に男女との快楽に囚われ終始するのはもったいない。そのためにも自分の性をもう一度こねくり回して、何か表現にたらしこんで、自分の身に纏う。そうすれば人は性器を出さなくてもエロティシズムを持った存在になれると思います。そういう人が増えていくと楽しいですね()

◇イベントへの想い◇

(質問:画廊スタッフ伊藤)

 

・「呻吟」とはどのような表現手法なのでしょうか。

宮西:「呻吟とは“うめき”、うめきとは未知の感情です。

不確かな衝動に詩という方向を与え、感情に論理性、衝動に倫理性を付与する。“呻吟”はその客体化のひとつです。」

 

・今回のイベントは、個展のタイトルともなっている「ペニス主義」とどのような関わりがあるのでしょうか。

宮西:「絵は“線と点”です。“呻吟”が線とするならば、本田(出演者の本田龍)が打つ打楽が“点”です。そして現われる形象が音としての絵であります。」

 

・宮西先生にとっての絵画と音楽の表現方法としての共通点や違いを教えて下さい。

宮西:「絵は思想であって哲学でもあります。音楽は生き方として、無常な生きものとしての僕自身なのです。いや、そう在りたいと思うものなのです。思索や探求というと、“うさんくさく”嘘くさい!

もっと自然な“よろこばしい”生きかたを実践するために音楽表現が必要なのだと思います。」


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◇◆◇◆


宮西ならではの〈セックス〉を題材にした極めて厳粛な姿勢、そして〈性〉の世界を体現する圧倒的な技術量を存分に発揮した個展「ペニス主義」。629()19:00からは打楽の本田龍と共に朗読パフォーマンスも行う。〈性〉の蠢きを目で見て、全身で感じてみてはいかがだろうか。2012年の宮西計三の「ペニス主義」、その姿をぜひ脳裏に刻んでいただきたい。


宮西計三個展「ペニス主義」
 
625日~630日  平日12時~19時 土曜12時~17
 
*特別イベント&展覧会パーティー  宮西計三新作詩朗読
aproori
ライブMoanPoems【呻吟と詩】
 629()19:00~【入場料3,000円ドリンク付き】
出演:宮西計三(朗読)本田龍(打楽)
 
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2012/20120625.html

 

 

 




◇清水真理 個展開催記念インタビュー◇

 

只今ヴァニラ画廊にて個展を開催しております清水真理さんに、人形制作にまつわるあれこれや、今回の展示についてお聞き致しました。

 

 

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―今回例えばニルヴァーナ、禁断の果実などの物語が人形の身体の中に組み込まれモチーフになっている作品が多数ありますね。そのように至った経緯を教えて下さい。

 

 

清水:仕事で10年ぐらい人形と衣装を制作しており、一通りドレスや着物等を制作してきました。そのうち煌びやかなお姫様とかそういうものを表現したいのとは別に、心の中を表現したいという気持ちが年々強くなってきて、それは不安だったり希望だったりその人の表情とは違う心の内を表現したいと思っていました。

普通は人体を開くと内蔵があって、その内臓をただの肉塊というものより、精神的な身体の中に住んでいて備わっているもう一人の存在が住んでいる体内空間みたいなものに興味をひかれて、自分の身体の内の部分の見せてみたい。開けると物語が広がっているという形で、と考えていました。

旧作・新作でも身体の中に精神世界があるというわかりやすい表現方法で作っていると思います。身体、そして心の中にその人の天国も地獄も快楽も全部詰まっている、そんな世界を表現したいと思っています。

 

人形作家さんでアリスやファンタジックで幻想的なものを作っている作家さんは私も含め割と多くいるのですが、新作は天国と地獄のようなより落差があるものを作りたいという気持ちがありました。

激しい苦痛やその反対の恍惚の気持ち、身体の中開くと天国のようなものが広がっていたり逆にとてつもない地獄が詰まっていたりとか…その全てのカタルシスを表現したいと思って制作に励みました。

 

―以前のフリークス作品では、人形の美しさが身体に直接表現されていましたが、今回は無理やり身体を開くと天国と地獄が広がるっているような作品が多く見受けられます。特に大きな変化はありましたか?

 

フリークスの時には開かなくても表面にあるそのままの美しさを表現していたように思うのですが、今回は顔や表面上がとても美しくて、無理やり身体を開いたときにその固体の中にあるものは何かというものを作ってみたいと思っていました。というのも、この仕事を10年ぐらいやってきて、人形という「ひとがた」の裸体というものに限界を感じたときがあったのです。たとえば極端に言うと裸体の人形を作るときに4色ぐらいしか絵の具の色を使わないんですね。もっと人の形や服装といった部分ではなくて、作品そのものを見たときにがんと強い信念みたいなものが欲しいと思っていました。そうしたらだんだんと表現方法が代わってきました。


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―今回、作品のテーマには歴史上の不幸な末路を迎えた(本人にとってはそうではないのかもしれませんが)少女が多く用いられている気がします。

 

そうですね、本当は自分の好きなイタリアの聖テレジア像のようなものを、球体関節人形で作り込みたく思っていました。苦痛に酔っている、痛いけれども、痛みが快楽に変わって気持ちがハイになっちゃう美しさみたいな、運命に翻弄された薄幸の少女達の精神的快楽を表しています。変な言い方すると、聖女はみんなMみたいな(笑)突き詰めるとS聖女もたくさんいるのですが…()神々しい美というものが面白いなぁと思っています。

          

 

―今回一番思い入れがある人形について教えて下さい。

義足の少女ですね。私は義足にとても魅力を感じます。それは体の一部が人形であるからです。その身体の一部の人形をコントロールしながら生活していくのってすごい事だと思っています。人形で表現できる世界かわかりませんが、沢山義足の勉強をして欠損した自分の殻であの一部が人形として、日々使いながら欠落部分を埋めながら生活しているのがすごいなぁと。そこに美しさを感じて制作しました。今世の中の風潮として欠損への憧れをみんなもっているのではないかと感じています。失われているものへの憧れなのでしょうか。

 

 

 

清水真理個展は23日()まで開催しております。

今回のインタビューにて登場した作品も多数展示しておりますので、是非会場に足をお運びください。

 

 

 

ヴァニラ画廊では8/22 9/3の日程で真珠子個展「花びらうらない」を開催致します。

 

◆真珠子個展「花びらうらない」◆

 

822日~93日 

平日12時~19時 土日祝12時~17時(イベント開催により変動する場合がございます)

■入場料600

 

「お花なんてキライ。リボンがいい。」そう言って、真珠子は、今までずっとリボン畑でリボンの栽培をしてきました。それは、「お花は何もしなくても美しい。だけど、リボンは自ら結ぶものだから、生まれたときから美しさを約束されているお花よりも、自分から美しさを作っていこうとするリボン的美しさの方が、好き」だったからです。だけど、震災の後、咲いているお花たちを見て、その考えは変わってきました。真珠子は、リボンからお花へシフトしつつあるのでしょうか。リボンは、よく見ると二つの花びらでした。これから3つ、4つ、5つ・・・と増えていくかもしれません。

震災直後に描いた絵、「祈る」が、通常の閲覧数の10倍を記録した時、祈りの大切さを痛感し、単身、神の住む島、バリ島に渡り、世界無形文化遺産であるバティックを学び、その場で体感したすべてを作品に注ぎ現地で制作した真珠子更紗作品など初披露。

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 展覧会開催にあたり、美術家・真珠子さんに今展覧会についてお聞き致しました。

 

●真珠子さんがNHKエンタープライズのプロジェクト(5人の女性映像作家によるフルアニメーションのミュージックビデオ製作)のプロフィールで17歳で絵に目覚めて、20歳くらいから女の子を描き始めたということが書いてあって、それがとても意外でした。

絵を描くモチーフとしては最初から女の子ではなかったのですか?

 

真珠子:その頃はダリなどシュールレアリスムが好きな時期で、シュールな絵を考えたり、コンセプチュアルなものが好きでした。高校の美術展で50号の油絵を出したときにそれが賞に入り共感を得られた嬉しさがとてもあり、美術を突き詰めてみたいと思いました。ふと女の子だと思ったのは二十歳でした。

 

●そこから精力的な作家活動を続け、今回の個展で出品する作品が更紗作品ですが、それには311日の震災の後からの作品ですね。バリ島に行って学ばれたという事ですが、今回のテーマが祈りということで、この表現方法を決めたのでしょうか。

 

真珠子:そうですね。今回のコンセプトでも謳っている通り、震災後、祈りは、切実な日常になりました。ここで一度そのことを認識したら、バリ島に出会いました。祈りが日常生活の中にどのように溶け込んでいて、それが作品になっていくのかが知りたいと思いました。そこで伝統的な更紗をやってみようと思いました。

更紗は一度体験したことがあって、江戸小紋というものなのですが、新宿の落合に江戸からやっている工房があり、そこで教えてもらいました。元々着物に興味があって、自分も着たいというのももちろん、伝統的な部分をどんどん知りたくなってきて、はまっていた時期がありました。更紗もずっとやってみたいと思っていました。

 

●バリ島は神の国というイメージがとてもあります。

真珠子:そうですね。絵だけではなくて、踊ったりとか奏でたりとか皆色んなことをやっていました。それは神様の為なんです。歌とか踊りとか芸術の全てが神様に捧げるためのもの。この島に住まわせて下さい。お願いしますという意味で、作ったりしているそうです。

●現地へ行って、作品作りに対する気持ちは変わりましたか?

真珠子:私はそれまで全く間逆で、神様とか思ったこともありませんでした。自分が作家としてどれだけ目立ってなんぼの人間の世界で、人々と共感もしたいし驚きも与えたいというスタンスでずっとやってきたので、人のことしか考えてなかったので突然言われた神の存在にとてもびっくりしました。作っている時もとても葛藤がありましたね。バリの人達はすごく神様に仕えているという、神の為だという気持ちが強くて。神様にうまく描ける様にお祈りしてから描きなさいと私にも言うんです。その方は全部日本語で教えてくれたんですけど、「カリスマがつく」っておっしゃっていて、日本語でカリスマって流行の言葉だけど、その人は「パワーが宿る」っていう意味で言っていたんだと思います。

そのパワーって、神様のためであることが、結局は人間のためでもあるのではないかと最近は思えてきました。バリに行ってからは、今までの制作と何かが違います。制作の最中に鍋で蝋がグツグツ煮えてるのを見たりすると、自分の心の中のぐつぐつが実際目に見える現象として具現化した物を見ているようで…それを体感することによってすごく落ち着いたんです。初めての体験で、何だこの現象は!と思いました。

それと同じように、私のその沸騰している部分が放出されている作品を見た人が、場合によってはそうやって、祈ったり癒さたりすることもあるかもしれないというのは、大きな発見でした。

 

●神様には色々種類があって、バリ島の神様は自然の中に宿る神というイメージがあります。真珠子さんから感じる巫女性もそれに近いものを感じるので、バリ島と真珠子さんの出身の天草は近いのかなと思います。

真珠子:それはとても感じました。でも天草は小さい時から生活している先入観と親族もいるし、ちょっと違うんですよ。何にも知らない所から祈りの島に行ったので。ただ違ったけど共通する部分も多かったですね。

今、自分の制作している更紗と刺青ってとても近いなと思っていたんです。

丹後縮緬の生地に、熱い蝋でじわ~としみこませて描く時、いつも蚕のことを思っていました。

蚕、こんなに美しいもの紡ぎ出したんだねって。それからだんだん絹の表面の質感が、女の柔肌に見えてきたんです。

そしたらなんと最近、道ばたで彫り師にナンパされました。笑

追いかけてきて、「彫りたくなるような肌です。」って。おかしかったです。

きてると思ったら呼ばれましたね 笑

エステの後だったので、効果あったみたいで嬉しかったです。笑

 

 

●彫師さんに聞くと、女性に彫るのは男性に彫るのとぜんぜん違うっておっしゃってましたよ。最高のキャンバスですね 笑 

確かに彫り物って更紗の絵柄にちょっと似ている部分がありますね。

 

真珠子:そうなんです。密集した感じが今描きたいモチーフにすごく似通っているなっていうのをこの間気がつきました。着物に刺青をするみたいな感じで。

今回出品する中で、丹後縮緬のお振り袖に更紗を施したものがあるのですが、蝋を抜く前の蝋の線って良いですよね。蝋だけのも作ろうかなと。だから今回それを着物で残しました。

 

●どんな作品か楽しみですね。

真珠子:新作は不思議なものができましたよ。笑

植物なのか魚なのか鳥なのか…可愛いです。体は植物みたいにすーっと伸びているんだけども、お腹はグロい赤腹みたいなんです。私は赤腹が大嫌いで怖くて見るのも駄目って思ってたんですが、自分で描いてるんですね。

●それは不思議な生き物として描いているんですか?

真珠子:生命力みたいなものを描きたいと思ったときに、植物だけでは足りなくて、もっと血とかそういうものが植物の中に融合して不思議なものができました。そこには生きる力みたいなものをこめました。

 

●色使いが新作は変わったと思いました。今回のDMの作品も色使い、特に黄色が凄く魅力的ですね。

真珠子:黄色って凄いですよね。笑 黄色は薄々5~6年前から気にはなっていたんですけれど。笑 ずっとピンクが好きでよく使っていたんですけど、なんかファンシーなものだけだと耐えられなくなってきて、黄色を塗っていると天国のようなイメージがわいてきて、気持良いなと。それでバリに行ったらなんの躊躇も無く、黄色を塗っていましたね。

後、今回、わざとポップ調の作品も作るぞと決めて色を塗るときにピンク・水色と配色しても、出来上がってみたら緑が入っているのです。

絶対に植物の緑が入っちゃっている。無意識でした。仕方ない、今回は絶対に出る色なんだと思いました。

●イベントのアニメ活弁についてもお聞きしたいと思います。

2月に横浜でパフォーマンスを拝見した際に、(A woman is a woman is a woman. TPAMショーケース(国際舞台芸術ミーティング in 横浜2011))真珠子さんの声にトリップというか、フワーとしてしまって。

真珠子:友人とバリ島滞在の最終日に会ったのですが、(トースティーさんといって頭にトースターを乗せて気合いでパンを焼きながら歌ったり、山伏の訓練を受けている素敵な美女なのですが…)その方が私の声が祈りだっておっしゃっていて、1/fゆらぎとか波動とか調べたら新発見があるかもしれない。感覚的にたぶんそうだよっておっしゃって下さいました。

確かに昔、私が教師をしていた時に、どんなに怒って指導しても効果が無くて、まじめな話をしている時でもフワーッとあくびとかされるんですね。笑 

失礼だなと思っていたけれど、この声が天から与えられたものなら良しとしようと思いました。

 

●また巫女力が…!10月に真珠子さんが出演予定のサディスティックサーカスにも山形から最高位の山伏さんが来るんですよ。何か真珠子さんの声に呼ばれたのかもしれませんね 笑

個展・イベント・サディスティックサーカスと続きますが、是非たくさんの方に見て頂ければと思います。

※サディスティックサーカス(102()真珠子出演予定)

 

 

展覧会特別イベント

入場料600

特別イベント■真珠子アニメ紙芝居活弁ショー

入場料2,500(1ドリンク付)

827日(土)16時開場

特別ゲスト:山崎ナオコーラさんをお迎えして

(イベント中入場者以外は展示をご覧 頂く事ができませんので、ご了承下さい。)

 

 

 

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作家プロフィール

天草出身。美術家。

絵を描くことから始まり、アニメーション制作、歌、陶芸、木彫、シルクスクリーンを手がける。

主な受賞歴

2004 - 雑誌「Illustration」の「ザ・チョイス」2004年度賞入賞。

2004 - NHK「デジタル・スタジアム」第191回田中秀幸セレクション受賞。

2004 - NHK「デジタル・スタジアム」佐藤可士和セレクション入選。

2005 - NHK「デジタル・スタジアム」丹下紘希セレクション入選。

DVD「デジタルスタジアム?デジスタ・キャラクターズ みうらじゅんセレクション」 に作品収録。

主な個展

2004 - 「やんちゃなおしおき秘宝館」展 (Lapnet Club、東京)

2006 - Ready for Lady」 (熊本市現代美術館ギャラリーG3、熊本)

2007 - 「姫すごろく『寵姫 花形姫』?私が姫じゃない理由って??」 (Lapnet Ship、東京)

2010 - 「おとめだち」 (カオリ座、東京)

2010 - 「おねえさんはリボン狂」(パラボリカ・ビス 東京)

 

 

皆様のお越しをお待ちしております。