伊藤啓恵展「親指幻想」インタビュー

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白い何かの集合体が、渦を巻くようにレリーフの中に納まっている。
なんとそれは全て親指!

親指をモチーフに制作を続ける伊藤啓恵さんに、制作に付いてお聞きいたしました。

 

VA:伊藤さんの作品制作歴に付いて、教えて頂けますか?

I(伊藤):2004年より親指をテーマに制作しています。
初めは親指の絵を描いていたのですが、粘土などを手でこねる作業が楽しくなり、2008年ぐらいから立体作品を作るようになりました。

VA:(いつも聞かれていると思いますが...)なぜ、親指にこだわり制作されているのでしょうか。

I:私は、愛を親指という形で表現しています。きっかけは、何を描いたらいいのか悩んでいたとき、当時習っていた尊敬するピアノの先生の一言でした。大切な人の一部をパッチワークのようにいっぱい繋げたら面白いかも、そこには愛があるからスゴイ物が出来そうよと。

VA:伊藤さんの中で、「愛」をテーマに作品制作を行い、その形として「好きな人の親指」をモチーフにしているのですね。

I:目でも耳でもなく、指にしようと思いました。指は指でも他の形とは異なる親指を!親指は、1本だけ横についており、私にはちょっと変な形をしているように思います。物をつかんだり、筆で絵を描いたり、かなり重要なポジション。すごく必要な部位。それをテーマにしたら面白いと思い始めました。そんな親指を、たくさん作り作品にし、愛を感じようとしています。

VA:作品の中で、親指が痛めつけられている表現もありますが、なるほどあまり「痛み」を感じないのは、愛おしくて仕方がないといった意味合いでの加虐性を感じるからかもしれません。
ちなみにこの親指は誰かの親指の型どりなのでしょうか。

I:"大切な人" の型どりです。

VA:今回の新作も親指が所狭しと画廊内に並びますね。今回の個展の見所を教えて下さい。

I:最近は、背景にカラーの円をランダムに広げていく感じのものを作っています。円を描いているとなぜか心が落ち着き、無の状態になり、瞑想をしているような心地良い気持ちでずっと円を描いていたくなるのです。円と親指を織り交ぜて、宇宙空間のようなものを表現できたらと思っております。いつも見慣れている親指を、この大量の親指で現実を離れ、異空間の幻想の世界を感じていただけたらうれしいです。

 

愛するものの断片を並べて蒐集したいという、人の心の奥底の願望を炙り出すような、衝撃的な作品の数々。
一見グロテスクで猟奇的とも見えるが、ずらりと並んだ親指を眺めていると、「強迫観念」や「執着」といった感情よりも溢れるような「愛情」を強く感じます。

伊藤啓恵展「親指幻想」は5月19日(月)〜5月31日(土)まで、是非足をお運び下さい。
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140519a.html

 


 

愛を親指という形で表現しています。
その親指を自分だけのものにしたいという思いで、たくさんの親指を作品にしています。
そして、自分の作品を繰り返し触れ、見つめる時、親指のあなたを感じることができるのです。

伊藤啓恵

静岡県浜松市出身
2000年より、はままつ美術研究所にて学び、2004年親指をテーマに制作。

2009 「第1回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2009 個展 「Big finger」
(浜松市・passeretti café)
2010 「第2回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2010 「第3回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2011 「第3回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・ビオラ田町)
2012 個展 「SWEET FINGER」
(浜松市・passeretti café)
2012 個展 「収集」
(豊橋市・アートエイジギャラリー)
2012 「第4回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)
2012 「第4回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2013 「ヴァニラ画廊公募展」出展
(東京銀座・ヴァニラ画廊)
2013 「第5回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)