土塊から人の形を成したばかりの人形は夜の気配にいっそう映えて生気を帯びた艶かしさに、ふとした隙にわたくしの目を盗んでひとを惑わし狂わせているのではないかという想いを巡らせる。光の届かぬ瞳、言葉を洩らさぬ唇がむしろ多くの事を問いかけているかのようだ。この人形が、いつの日か誰かしらの愛を受けて恍惚となるだろうけど、彼女の仕草や振る舞いが、恐れや解きがたい憎しみを生まないことを希う。
森馨 Kaoru Mori/プロフィール 美しく可憐ながらも官能的、そして禍々しさを持つ人形の存在に魅力を感じ、1998年よりBee菅野氏、山上真知子氏に師事し人形制作を始める。 「心情的ダッチワイフ」を目指し、エロティックな人形を多く制作している。